デュラララ!!

□夏の記憶
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出会った時から大嫌い、だった。


















‐‐‐‐‐―――――†





















高校で初めて出会った時から気にくわなかった。


俺と同じヤツだと思ったからだ。

まるで俺を見ているようで苛ついたからだ。


どう人と接したら良いか、思いも力加減も分からなくて人に関わらないようにしている。


だから、苛つく半分――――此奴ならどんな風に接しても大丈夫だと。

力加減何て考えなくても大丈夫だと思ったんだ。















そんな風に思った。




バカみたいに安心してしまった。



だから―――――。














「静ちゃん、何してんの?」


顔の左頬を覆うように付けられた、ガーゼ。

見るからに痛々しい、怪我。


「――――――…」
何か言おうとして言えなくて。


「もしかして心配してくれた?」
「誰が……」
「別に静ちゃんの所為じゃない」
俺の不注意、と言って隣に座る。

放課後、何時もみたいにマジで喧嘩してて……俺の投げたボールが左頬に直撃して。


俺が投げたから、当然の様に只の怪我じゃ済まなかった。

皮膚が破れて血が出て、酷く腫れ上がった。


避けられなかった。

辺りに散乱したボールに躓いて。






















何度も臨也が倒れるシーンだけがフラッシュバックする。












俺の、所為だ。

此奴は人だ。
怪我をすれば血が出るし、ぶつければ腫れる。

そんな、当たり前の事――――。















「ねぇ静ちゃん…俺さ、静ちゃんの事嫌いじゃないよ」
「……………?」
「だからさ、また明日も喧嘩しようよ。其れでまた明後日も喧嘩しようよ」
「臨也…?」
何、を……?


「静ちゃんと遊ぶのが楽しくて仕方ないんだよ、俺」
だから怪我とか気を付けてたのに、とまた笑った。

此奴は俺よりも俺の事を分かってるんだよなぁ――――。


こんな時に俺がどれだけ自分を責めるのか分かってるから。

何時も怪我しないように。


腹が立つほどに、優しいまでにも俺を理解してやがる。


誰かと繋がろうなんて考えたくもなかった。

また傷付けて、また嫌われる。

それの繰り返しだって思ったからでも……いいんだよな、此奴と繋がろうと思っても。












繋がってもいいんだよな?






「ねぇ静ちゃん」
「んぁ…?」
「海に行こうよ。遊んだ後に喧嘩してさ…夏休みを一緒に過ごそうよ」
とても楽しそうに、嬉しそうに。



臨也が笑うから。


夏休みだけじゃなく。


















ずっと、ずっと――――。

















此奴の傍に居たい。

















「俺はさ静ちゃんが嫌いで嫌いで仕方ないけどさ……静ちゃんの傍に居たくて仕方ないよ」
照れたように笑う。


「――――――…」
「え…?」
「二度は言わねえ」
こんな……まるで―――――。



「プロポーズみたいだよね、今のセリフ」
「――――――!?…手前!!」
聞こえてやがったのか!?


「お前は俺の―――――」
「臨也ァ!!」
二度と言うことも、聞くことも無いと思っていたのに。


「静ちゃん顔真っ赤」
ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべる……何時もさっきみたいに笑えば可愛いのに此奴。


「一生離れてあげないよ」
「…手前、完全に笑ってるだろ」
「あ、バレた?」























‐‐‐‐‐―――――†

















「静ちゃんまた寝てる」
「……うるせえよ」
「起きてたんだ…つまんないの」
残念と言うような顔をして目の前の床に座る。


「静ちゃん、寝言酷いね」
「……………………」
「覚えてるよ俺








―――――手前は俺の傍にいて、一生離れるな…だっけ?」













一字一句違いなくその通りだっつーの!!


「よく考えたらまだ七年しか経ってないんだよね」
「……あぁ」
「一生って、まだまだだよねぇ」
「直ぐに八年になるだろ」
「ねぇ静ちゃん、大嫌いだけど、でも」






「「愛してる」」


















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