その他
□サヨナラは言えない
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君が名前を呼ぶ度
胸が苦しく―――――疼いて痛い
「アーレン♪」
「―――ラビ、何してるんですか」
其れは俺の台詞なんだけどなぁ。
江戸、ノアの箱舟での戦闘が終わった其の日からアレンは―――――笑わなくなった。
只ピアノの前に座り尽くして、彼は何を思うのか。
「傷治ってないのに……」
「それはアレンの方さぁ」
「……そう、ですね」
珍しく素直なのは何で?
何も思わないから?
何も考えてないから?
なぁ、アレン。
聞ける勇気を俺に頂戴?
ブックマンだから、何時か別れてしまうのに。
そんな理由を言わなくちゃいけないほどアレンを愛してるから。
傷付けたくないのに。
傷付きたくないのに。
だから――――――
今離れなければ手遅れになると分かっているけど――――――アレン。
只、
愛したいだけなのに、
君だけを見ていたいんだ。
たった、
たった其れだけが俺の望み。
「ラビ?」
「―――――ん?」
「どうかしました?」
「何でもないさぁ、アレン」
名前を呼ぶ痛みに―――溺れつつあって。
アレン、御免。
もう分からないんさぁ。
愛のみが真実ではないのか
「アレン」
「…?」
「お休み」
何時かまで、君の傍で愛を囁いていいですか―――――?
END.