宝物(小説)
□過剰な愛
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恋愛は、好き過ぎたら負けだと言っていた。
ならば、愛し過ぎたら?
視界0。
聞こえるのは、自分の呼吸音。
離れた場所から見られている気配があるのに、身体に触れる熱は自分の指先だけ。
「っ、っ・・・」
冷たいシーツに身体を預け、皮膚の感覚だけで下腹部を自分で弄っていた。
『時折、思うんだ。本当に俺を、あんたは好きなのかと』
『何を言っているんだ?私は・・・』
「さ、えき・・・ん、さえき・・・」
熱を帯びた声で呼んでも、まだ彼はベッドの横にある椅子から立ち上がらない。
『好きなら、俺の心を動かして見せろ』
瞼を布で覆われ、ベッドに裸で置かれている。
『俺を想って、乱れてみろよ』
確かに、私は言葉が足りない時がある。
彼が自分を愛撫する時の癖を思い出し、手の平に包んだ自分のモノを擦り上げる。
ジュクジュクと先端から蜜が溢れ、濡れた指先を口に含んだ。
「ん、ふっ・・・っ」
「・・・」
見えない場所に君がいる。
その君が、ゴクッと喉を鳴らした。
「あぁっ、はぁ、さえき、っ・・・」
擦る強さを変え手を休めずに扱くと、濃い精臭が漂う。
足りないなりに、愛を囁いた積もりだが、まだ君には足りないのだろうか?