宝物(小説)
□所有特権
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「・・・。・・・あれ?何で?」
ベッドの上で裸のまま座る克哉が、寝起き一番そう言う。
「何がだ?」
枕に顔を埋めながら聞き返すと、下半身を確認してから克哉が頭を抱えはじめた。
「いつ、ベッドに来たんだろ?本気で、思い出せないんですが・・・」
唸り声まで出す始末で、枕を見ていた視線を克哉へと向ける。
見られていると気付くと、首を傾げて自分の方へ近付いて来た。
「昨日は・・・。その・・・、オレ達・・・」
熱を持ち出す赤い頬。
それに手を添えて、昨日のキーワードを持ち出す。
「・・・。『本当は、誘ってました』や『だって、キスしたかったから』とかは、覚えてるか?」
「・・・。・・・うわわっ!!何ですか!それ!お、覚えてませんが、恥ずかし過ぎる!!」
そうして、慌てふためく恋人一人。
そんな恋人を抱き寄せて、低い声で囁いた。
「私に『愛されたいから、早く抱いて』は?」
「うぅ〜・・・。それは・・・」
「それは?」
耳元まで赤く染まる所へ口付けを施せば、上目遣いの蒼い瞳が情欲に濡れる。
「ずっと・・・。前からです・・・」
喜ばしい事に、その感情も、私のモノだ。
END