贈り物
□夢現牢屋
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それから数日経ったある日、津森は一人の男を連れて現れた。
(背…高いな………)
180cm以上あるのだろう。
結構俺も背の高い下駄を履いているのだが、それでも見上げないと目線が合わないくらい長身の男だった。
「野分、このお方が弘樹太夫だ」
「あ……草間野分と申します」
そう言われ、頭を下げられる。
久しぶりのそんな反応に、俺は一瞬どうすればいいのか分からなくなり、返事を忘れる。
津森に呼ばれ、やっと意識を戻した。
「そうだ、野分、お前弘樹と話してみたらどうだ?金は俺が持つし」
「え?お、俺がですか!?」
そんなこと、と謙遜した態度で断る。
(こんな奴…初めて見た)
何度か津森の紹介の男が来たことがあるが、同じように言われると、目の色を変えてすぐ飛びついてきた。
なのに、この男は………。
「弘樹はどうなんだ?」
「私…ですか?私は草間様とお話してみたいです」
すぐに偽りの笑みを浮かべ、そう答えた。