宝物(小説)

□貴方の一言
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「貴方の一言」



旦那が帰ってこない。



私の旦那は


鬼兵隊の総監督で、


テロリストの私の晋助。





二ヶ月前、しばらく帰れないと急に告げられたきり晋助は帰ってきていない。

家を出てから二・三週間の間は何事もおおざっぱで不器用な晋助にしては珍しくこまめに連絡してくれてたのにそれ以降ぱっと連絡が途絶えてしまった。


結婚して二年が経って、まだ二人で暮らしたいからと言っている私のことを想って愛を確かめ合うときはちゃんと避妊してくれていた。


だからそんな晋助が連絡もせずに私を放置するなんて考えられなかったの。


だけど晋助に迷惑かけちゃいけないと思って私から連絡はしないようにしてる。
だから一人で色々溜め込んでしまって食べ物が喉を通らなくなってしまったの。


そんな私を心配して私と晋助の幼馴染の小太郎とか辰馬、真選組の土方さんや沖田くんが心配してよく家に来て話してくれてる。



きっと中には私が自殺とかしないかとか考えてる人も居るんだろうな…。

だけど私は晋助を残して死ぬだなんてことできないから大丈夫。



晋助へ




晋助、私ねここ数ヶ月の間で
すっごく強くなったよ。

昔みたいにすぐ泣きべそかいて
小太郎とか辰馬に迷惑かけたりしてないんだよ。





偉いでしょ?私。

褒めてほしい…褒めてほしかった、な。


もう会えないのかな?


まだ結婚して二年だよ。
まだまだこれからじゃない?




私…強くなったのは誰かの前だけみたい。


ほんとはすっごく弱いみたい。




晋助……会いたいよ。



私浮気しちゃうよ?





ってそんなこと言っても晋助は騙されないし帰ってこないよね。




この前ね、真選組の土方君に告白されたの。


私ちゃんと「ごめんなさい」って断った。


だけど土方君は「俺は銀子に悲しい思いや寂しい思いさせない」って言ったの。


実際私今すっごく寂しいよ。
だけど晋助のお仕事のことだから我慢できるよ。

だから私こう言ったの。


「寂しいのは晋助のせいじゃないんです。私が弱いからなんです」って。


だから晋助、心配しないでね。


私大丈夫だから。





だけど、早く帰ってきてほしいな。




わがままでごめんなさい。




そしてお仕事の邪魔になってしまったらごめんなさい。




銀子より






そう私は晋助にメールをした。


返事は期待していないし、
返事を求めているわけでもない。


ただ自分の気持ちを伝えたかっただけ。



お互いの今の気持ちを確かめ合えたらなって。
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