宝物(小説)

□貴方と雨とオレと
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仕事を終えて病院を出るとヒロさんが傘を持って立っていた


貴方と雨とオレと


「ヒロさん何やってるんですか、こんな時間に。もう10時ですよ」

ヒロさんがオレを迎えに来てくれたのはすごい嬉しいけど何でいきなり来たんだろう?

「今日古本屋行った時に今日お前が帰って来る事思い出してさ。
・・・今日雨降るってテレビで言ってたから帰るついでにお前に傘届けようと思って」

「何でオレが傘持って無いって分かったんです?」

「玄関にお前の傘があったから。ホラこれだろ?」

「・・・ヒロさん、一回帰ったんですか?」

「ああ。どうかしたか?」

「さっき帰るついでって言いましたよね」

ヒロさんが『しまった』という顔をしている
本当に嘘がつけない人だ
こんなところが可愛いんだけど・・・

「・・・」

「ヒロさん一緒に帰りましょう」

「・・・ぁぁ」

顔を真っ赤に染めてとても小さな声で返事をするヒロさん
この場で食べてしまいたいくらい可愛い

「ヒロさんは可愛いです」

「何いきなり言ってんだボケ」

「ヒロさんと一緒にいれるならボケでいいです」

「うるさいガキのくせに」

「ねぇヒロさん?」

「・・・何だよ」

「手、つないで帰りません?」

今は悩んでるんだろうけど、また顔を真っ赤にしてる
しばらくたってからヒロさんはコクンと頷いた

それからオレ達は手をつなぎながらゆっくりと帰った
こんなに素直なヒロさんを見れるならこれから雨の日が好きになれそうな気がした


END
 

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