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□銃声、響く
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コツ、コツ。響く靴音。ちなみに
俺の革靴の音。バサッとマントを
はためかせて真っ直ぐに向かうは
もうすぐ見えるであろう白い扉。
…ほら、見えてきた。この廊下無
駄に長すぎだっつの。足が疲れる
心の中で悪態をつきながらも足を
休めることもなく真っ直ぐにその
扉に向かう。         



扉の前に立ち、すぅ、と深呼吸を
一つ。それからノック二つ。する
と聞こえてきた暢気な声。   
「ど−ぞ、入っていいよ♪」  
ガチャ。白い扉を何の躊躇いも無
く開け放つと広がるのはまた白。
その白のなかにまた、白。   



「やっほ−綱吉くん♪」    
真っ白なマシュマロ片手にひらひ
らと手を振ってくる白。    
「ご機嫌みたいだな、白蘭」  
ふっと口許に笑みを浮かべ白、も
とい白蘭を見る。すると今までよ
りも良い笑顔を返してきた。  
「そりゃあね、綱吉くんがちゃん
と約束守って一人で来てくれたこ
とが嬉しくて♪」       
「お前が言ったんだろ、一人で来
いって」           
特に笑い返すこともなく、かと言
って睨むわけでもなく表情を変え
ずに返事すると楽しそうに笑う。
「まぁそうなんだけどね。てっき
り君の部下兼恋人さんもついてく
るかと思ってたからさ」    
終止笑顔で言った白蘭の言葉に眉
がぴくりと動く。       



「だから、お前が言ったんだろ。
俺に一人で来いって。」    
さっきと同じ意味の言葉を返す。
じっと白蘭を見据えて。すると白
蘭はあぁ、と小さく言ってから 
"じゃあ綱吉くん、秘密で来たん
だ"と相変わらずの笑みを浮かべ
ながら言ってきた。      



その言葉に薄く口許を歪め   
「残念。あいつは知ってるよ。来
ると言ってきかなかったのを俺が
止めてきたんだ」       
言い放つと白蘭は大袈裟なくらい
目を見開いて"そうなの!"と言っ
た。何だか無償にイラついた。 








カチャ。聞き慣れた金属音。下げ
ていた視線をあげるとさっきから
変わらない笑顔を浮かべたままの
白蘭。その手には、黒く鈍い輝き
を放つ、銃。         
動じない俺に白蘭は      
「逃げないの?抵抗してもいいの
に抵抗もしないの?」と言った。
俺は返事の代わりといっちゃなん
だが無言で目を伏せて微笑んだ。











  
  (君の声が聞こえた気がした)









2010.09.18
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