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□笑って笑って
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血の匂い。辺りを埋め尽くす
のは血の匂いと火薬の匂い。
べっとりと俺のスーツにへば
りつくのも血。誰のか解らな
い血。俺のかな?それとも足
元に転がっているついさっき
まで生きていたモノのかな?
まぁ何でもいいや。とにかく
早くここから立ち去ろう。早
く立ち去らないと、溺れてし
う。飲み込まれてしまう。こ
の暗い、暗い、闇に。   
飲まれる前に早く立ち去ろう
早く逃げよう。光のもとに。







深夜2時。ボンゴレ本部に到
着。シャワーも浴びずにすぐ
さま向かうは光のところ。早
く、早く。シャワーなんて浴
びてるヒマない。     






暫く無駄に長い廊下を歩いて
いるとやっと見えてきた扉。
ノックもせずに開ける。  
こちらを振り向く影がひとつ
にっこりと微笑んでまず一言
「おかえりなさい」    
俺もにっこりと微笑んで  
「ただいま」       
するとかえってくるのは安心
したような笑顔。あぁ、実感
俺はまだ生きてる。    
光が見える。       


スタスタと歩いて抱き締める
俺の光。あぁ、また実感俺は
まだ生きてる。すると俺の腕
の中から聞こえた声。   
「また…この匂い。」   
…匂い?あぁ、血の匂いか。
すっかり忘れてた。    
「大丈夫。俺のじゃないよ」
確信はないけど俺のじゃない
かすり傷から出てる俺の血か
も知れないけど俺のじゃない
「………そんなの、解らない
じゃない」        
ごもっとも。その通りだ。 
けど違う。違うと言い張る。
よく解らない俺の意地。自分
で自分に嘲笑。      




変な意地だな、そう思いつつ
腕の力を少し緩めそっと顔を
見てみる。        
ゆっくりと顔をあげる俺の光



あぁ、ダメだよそんな顔。 
そんな顔しちゃダメなんだ。
俺の光と言えないよ。   



だから…         









  
  (君の笑顔だけが、僕の光)








2010.09.17
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