Gift

□心拍数
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『何で…何で起きてくれないの?
ねぇ、早く起きてよ。何で手紙な
の?何で手紙にこんなこと書いて
るの?嬉しいけど、やっぱりこう
ゆうことは本人を、あたしを目の
前にして言わなきゃ駄目だよ。ね
ぇ綱吉。あたしはここにいるよ。
早く起きて。綱吉、ねぇ…っ!』



冷たい棺を思いきり叩く。力一杯
叩く。何寝てんのよ。寝坊助。 
早く起きてよ。何よ、一人でどっ
か行ったと思ったら手紙なんか隼
人に託けちゃって。自分で渡して
よ。寝てるんでしょ?いい加減早
く起きなさいよ、バカ綱吉。  



「…10代目は…本当に、死んだ。
自分がもし死んだらその手紙を渡
すように頼まれてたんだ…。」 




響き渡った隼人の声。あたしが隼
人の方を向くといつも以上に眉間
に皺を寄せてうつむいてた。  

隼人の隣にいる武に目をやるとい
つもヘラヘラ笑ってる武までもが
眉間に皺を寄せて横を向いてた。

いつもは群れるのを嫌ってみんな
が集まる時は絶対にいない雲雀さ
んが心無しか沈痛な面持ちで立っ
ていた。           

ランボがハンカチで顔を隠して泣
いてた。隠しきれてないけど。鼻
水とかでぐちゃぐちゃな顔見えて
るんだけど。         

少し離れたとこを見ると珍しく骸
がいて、目をそらしてあたしの見
間違いかも知れないけど唇を噛み
締めて木にもたれ掛かっていた。

了平さんがこっちに背中を向けて
木に手をついてうつむいてた。 


よく見ると、守護者が揃ってた。


けど、綱吉はいない。ボスである
綱吉は、この棺の中。     




…これは、悪い夢?      




ゆっくりと“X”と彫られた棺の
蓋を開けた。すると綺麗な花に囲
まれて寝ているいつもより少し顔
色が悪い綱吉。        


『綱吉…つな、よし…?あは、あ
はは…嘘、でしょ?寝てるだけだ
よね?死んでなんかないよね?』


綱吉の頬に手を添えてみた。  



ツメタイ。          







っ、あぁああぁぁ!!!!





手紙をよく読んでみると最後に、
“俺、心拍止まるまでって約束し
たけど、やっぱり心拍が止まって
も愛し続けるよ”と書かれていま
した。            





  
  (あたしも今すぐ止めたいよ)






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