おきつねさまの恩返し
□25枚目
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ヒイロくんが『破壊神』である理由を説明する為に今までの経緯をギャリーさんがリョウさんに詳しく話している内に、
リョウさんもヒイロくんとはまた別だけど、随分と変わった切り抜け方をしている事が分かった。
「……あの絵を攻撃で切り抜けるとか…。何というか、規格外ッスね、ヒイロって…。」
「チョコレート渡して通るアンタも大概だけどね…。」
そう。例えば、あの『花喰い』。
なんとリョウさんは持っていたチョコレートをあげて通ったのだという。
なんでも、花喰いさん本人が「いい匂いだなぁ、それちょーだい?」と言ってきたんだとか。
……なら、私達も何か食べ物を渡せばよかったんじゃないかな…。
凄く、今更なんだけれども。
花喰いさんの前にも、そのチョコレートは猛唇にもあげたらしく。
……通りで私達の道順にリョウさんの通った形跡がなかったわけだ。
そんな事を考える私の隣で、不意にギャリーさんが小さく欠伸をした。
私と目が合うと、照れ臭そうに笑う。
「はぁ、今日早起きしたから眠たくなってきちゃったわ。」
「そんなに眠いならギャリーも寝たらどうだ?」
「いや、いいわ。そこまでじゃないし…。」
ヒイロくんの提案にギャリーさんは首を振ったけど、本当に大丈夫なのでしょうか…。
出る時に起こしますよ?と言うが、大丈夫よとやんわり断られた。
「休める内に休んでおいた方がいいぞ?こんな安全な所なんて早々ないだろうし。」
「…まあそうなんだけど、アンタはちょっと休み過ぎよ。」
そうか?と首を傾げるヒイロくんは壁に背を預け座り込んでいる。
でも傍には鞄が置いてあって、そこからあの刀が顔を覗かせていた。