小話集

□My sister!
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「吉乃、お前に二つ提案がある」と蓮は静かに言う。

すると吉乃は興奮した様子で、簀巻きのまま蓮に迫り
「何ですか、蓮さん。足を舐めまわしますか、足ですね?分かりました!」
と嬉しそうに叫んだ。

「……待て、早合点するな気色悪い」

ほんの一瞬思考回路が停止し、場の空気が一気に冷え切った。
本気の吉乃の提案に、蓮始め三人は引いていた。ドン引きだった。


「はっは〜嫌ですねぇ、蓮さん。こんなの軽いジョーク、冗談と相場は決まっているじゃないですか」
「冗談を言うなら空気ぐらい読め」
「さて蓮さん。提案とは何です?」

蓮はコホンと咳払いをし、本題へと入る。
「さあ吉乃。これを食え」とパセリマウンテンを差し出す。

途端に、吉乃の顔色が真っ青になり「さ、流石に蓮さんの提案でもこれは…」と珍しく刃向かった。
あのね…と麗は小声で千歳に話しかける。
「吉乃さんって、パセリ苦手なの?」
「苦手どころか天敵らしい。まあ…あの量は流石の俺でも勘弁だけどな」と笑い、視線を戻した。

蓮は仕方ないと言うように溜息をつく。
「ならばコレを流す。しかも全国ネットで、だ」と茶封筒からVHSを取り出し、吉乃の目の前に突き付ける。
「せ…せめてCS放送にしましょうよっ!蓮さん!!」と涙目で懇願する吉乃。

それに対し、蓮は凄く良い笑顔でフォークにパセリを突き刺す。
「仕方ないな…僕が直々に食べさせてやる。ほら、吉乃。口を開けてごらん」と優しく諭すように語る。

蓮さ〜んと馬鹿面で歓喜する吉乃。
蓮はこれ見よがしに、パセリマウンテンを一つ残らず吉乃の口に放り込んだ。
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