爆丸

□孤高の少女
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「………」


目の前に広がる空が青い…


(オレは、負けたのか…?)


体が重い。バトルの後だからだろう


『目が覚めたか、エース』

「パーシバル…」


あぁ、よかった。どうやらお前は奪われなかったようだ


「くっ…」

『無理をするな、手当てをしてもらったとはいえ、まだダメージが残っているだろう?』

「手当てを“してもらった”?」


そしてふと気付く。すぐそばで1人の人物が座っていることに、しかもその人物は先ほど自分をバトルで負かした相手だということに


「あぁ、おはよう…」

「なんでテメェが!?うっ…」

「あまり、無理をしないほうがいい…」


手当てした意味がない…とそいつはつぶやくように言った


「なんでテメェが…」

「なんで?そうね、気まぐれ…?」

「ふざけんな!!」

「ふざける…?何を…?」


訳が分からないというようにユキトは軽く首をかしげる


「お前、HEXだろ!なんでHEXが…」

「手当てをする、か…別に、わたしはもうHEXではないし…」

「なに…!?」

「信じられない…?別にいいけど…」


それだけ言うとユキトはふらりと立ち上がり、ふらふらとなんとも頼りない足取りで歩きだす


「お、おい、どこ行くんだ!」

「さぁ…」


自分のことなのにまるで興味がないというように返すユキト、だがすぐにひざをついてしまう


「……」

『大丈夫か?』

「パーシバル…」

『だがエース、このような少女を放っておけんだろう』

「それもそうだが…」

「…わたしに構わなくていい、どこかに行く、か、ら…」

「お、おい!」


いい終わらないうちにユキトは倒れてしまう
そばによって抱えあげるとユキトは小さな寝息をたてて眠っていた


「寝てやがる…」

『よほど疲れていたんだろう、HEXではないというのはあながち嘘ではないかもな』

「知らねぇよ、って、そういやコイツが連れてた爆丸は…」

『すでに逃がされている』

「逃がされ…」


瞳を閉じたままのユキトを見つめてエースは小さく舌打ちをし、ユキトを抱き上げた



孤高の少女
(これで貸し借りはなしだからな)




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