バクガン

□一陣の風
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普通の家庭

普通の両親

なのに、自分は少し、いやかなりズレて生まれてきた


「ユキト?」

「何でもない…」


どうした?と顔を覗きこんできたシュンの膝の上には緑の球体が数個

今子ども達の間で流行っている爆丸という玩具だ。ユキト本人は一度しかやったことがないが、その一度で飽きてしまった


「それは、楽しい…?」

「ああ。ダンは積極的だが?」

「知ってる…」


興味がない、というように公園の時計に視線を向ける


「駿、時間…」

「…そうだな、じゃあまた明日」

「えぇ…」


公園から立ち去るシュンの後ろ姿を見送りながら木々の擦れる音を聞く

日は少し傾いてきた。だがまだ帰る気にはなれない


「……」


生きていることに不満はないが、残念ながら疑問はあった

普通の家庭、普通の両親。
そして、表情豊かな明るい双子の弟

なのになぜ、自分はこんなにも欠落して生まれてきてしまったのだろう?

何も楽しくない
何も面白くない

怒りを感じない
悲しみを感じない


「馬鹿馬鹿しい…」


感情がないからなんだ、自分には弟が、ダンがいればそれでいいじゃないか…

そんないつもの答えを出した時、一陣の風が髪をゆらした






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