小説庫(書く所)

□※小さな獣はお好き?
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――――――…
―――…






「ねえ土方さん、一くんのこれってさ、放っておいても元に戻るんですか?」




場所は変わり土方さんの自室。
話を聞くのは俺だけでいいだろうと言ったのだが、それでも総司と左之はついてきた。

まったく、こいつらは暇なのか。


まあ俺も総司の質問の答えを知りたかったので黙っていることにする。





「あー…それが、だな」





物事をきっぱりと言い張るこの人には珍しく言葉を濁しながら視線を宙にさまよわせ、困ったような表情を土方さんは浮かべた。





「なんだよ、土方さん。言いにくいのか?まさかもう斎藤は元に戻らない…とか?」



「僕は、可愛いから戻らなくてもいいんだけどね」



「馬鹿なことを言うな。これでは外出できん。……それで、副長…戻らないんですか」



「あぁ…いや、戻るには戻る」



「どうすればいいんですか?」






放置しておけば治るなんて言われればそれはそれで困る。
明日の昼の巡察までに戻るのか。
そもそも屯所内も歩き回れないではないか。



あれこれ考えているといつの間にか視界には土方さんの部屋の天井が。背中には心地よい畳の硬い感触。
目の前には土方さんの顔。
それも、かなり至近距離。





「ぇ、副長…?」



「それがな斎藤…"こういうこと"をすれば治るらしい」





そう耳元で囁かれ土方さんの手がするりと襟巻きを外し帯を緩め、着流しの中へ…





「…ぁ、」




「土方さん、ちょっと待ってもらいます?」



「おいおい、俺達いるんだぜ?」






少し怒気を含めたいつも通りの総司の笑っている声と、呆れているような楽しそうな左之の苦笑混じりの言葉に土方さんは手をとめる。





「土方さんがするなら、僕だって斎藤くんを可愛がりたいです」



「ん、…総司…っ」






俺と土方さんの近くへ歩み寄り、組み敷かれていた俺を座らせ、総司はそう言いながら軽く俺に口付ける。






「総司の言う通りだな、ここで手を出さないのは勿体ないにも程がある」




「っ左之!…ゃ、そこ…触るな…ッ」






後ろから抱き抱えてくれている土方さんの温もりと総司の口付けに意識がいっていた俺は、左之が尻尾の付け根を撫でたせいで身体が跳ねあがった。






「斎藤、」



「あ…っ、ぁ…」





土方さんに耳を舐められ、着流しに忍びこんだその手が俺の身体を這う。

もう、熱い。

触られた箇所が、じん…と疼いた。































気だるい身体を起こし、朝食の支度をするべく、俺は勝手場へ向かう。





勝手場には既に今朝の当番の平助がいた。
猫耳は……ない。





「あ、一くんおはよ」



「あぁ、おはよう。すまん、少し遅れたな」



「いや少しとか、別にいいよ。まだ作り始めたばっかだし」





挨拶を済まし、俺達は朝食を作り始める。





「そういえば平助。昨日は災難だったな」



「ん?あー、アレね。ぶふっ新八っつぁんのは笑えたぜ?確かに1日あの耳は嫌だったけど、お陰でまた新八っつぁんをからかうネタが出来て楽しかったし、それほど災難ではなかったかなー」



「…平助は、新八に手伝ってもらったのか?」





ふと疑問に思った。
昨日土方さんが言っていた"こういうこと"。
ならば平助や新八もそういうことをしたことになる。




「手伝うー?…はあん、一くん、土方さんに聞いただろ?俺らは犯人の山南さんに聞いたけど…山南さん、土方さんをからかっただけだよ」




「………は…っ!?」






平助が言うには真に受けた土方さんが急いで走り去っていったため山南さんは、放っておけば翌日にでも治る、と言えず仕舞いだったらしい。





「かなり焦った様子だったんだよなあ。一くん愛されてるねー」



「…………」






…山南さんと副長とは、じっくり話し合う機会が必要そうだった。







END






―――――――

後書き。

薬物?あんなものあったら屯所はもう危険地帯ですよね。
いいんだ一くんは総受けで。

燐華様から5000HITの沖斎か土斎か原斎の極甘か微裏というリクエストを頂きました。
どれを書けばいいのかわからなかったので、もういっそ全部混ぜちゃえ!という話になりました。


ご期待に応えられなくてすみません。



5000HIT、Thank you。
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