小説庫(書く所)

□※確認事項
1ページ/2ページ

今日は非番だ。
何をするまでもなく、ただ時間の流れのままに空を眺めていた。


ふと、中庭の木を見てみる。
そこには小さな雀が数匹。
自然の一部に触れた気がして、少し嬉々とした気分になった。





「あれ、一君じゃない。何してるの?」


「……はぁ、まったくあんたは」




久しく一人で居ることが出来なかったのだから、今日はずっと一人で過ごそうとしていたのに。
こいつが来たからには、それも叶わないだろう。




「…あんたも非番なのか」

ゆっくりと、俺の横に腰を降ろす総司。


「ん?いや、夜の巡察まで時間あるから。まだ昼過ぎだしね」


「そうか」



「…」



「…」










……気まずい。
いつもなら、煩いくらいの総司が 今は押し黙っている。

どうしたのかと思い、視線を総司の方へと傾けた。




「ーーーッ!」


総司は俺のほうをじいっと見ていた。


いや、それ自体は先ずいいとして。





俺が視線を総司に向けた瞬間に、浅い口付けを受けた。






当然、いきなりの不意討ちに身構えてなかった俺の顔は真っ赤で。
向かいにある総司の顔がニヤニヤと笑っているところを見ると、更に顔が熱くなった。



「そ、総司…っ!」


「あっはは!一君、林檎みたーい」




誰のせいだ。

ぶつぶつと心の中で総司に悪態をついてみる。

そんな俺の考えは予想していたのか総司の表情がふと真剣になった。




「あ、今…一君、失礼なこと考えてたね?」





…何故わかった。





「顔に出てるよ」





……なんだと。






「僕はずっと君の変化を見てるから。可愛い可愛い一君の…ね」




と、いきなり視界が反転。
…要するに、総司に押し倒された。
やはり身構えていなかった俺は総司の胸を押してみるがその前に両腕を頭上で纏めあげられる。





「なっ、総司何を…っ」



「ゴメンね一君。味見だけ」



「いっ、今昼間……ん!」



「可愛い…好きだよ、一君」




「ン…っ、ぁ…総司、俺も…好きだっ」













いつでもこの感情を確かめたいんだ。

貴方の愛を確かめたいんだ。

自分の心を確かめたいんだ。


そして、貴方と生きているこの時を、確かめたい。





確認事項は、沢山あるんだ。




きっと、総司も、俺も。






next→後書き
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ