BOOK〜HUNTERXINDEX〜

□H.I.I.W.8
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「そいつ、もらっていくわね。」
背後から現れた少女…―ビスケがニコリと微笑みながらウノを差す。
(キルアと同い年ぐらい…?)
美琴はその返答として頷き、ビスケをマジマジと観察する。
「美琴ちゃんもちょっと怪我してるみたいね。病院に行った方が良いわ。」
ビスケは気絶しているウノを軽く持ち上げ、肩にかける。
(怪力?)
華奢な少女が同じ背丈ぐらいの男の子をひょいと持ち上げ平然としている姿に驚愕する。
「私はこいつを運ばなきゃいけないから、美琴ちゃんは近くの病院に行きなさい。歩けるわよね?」
年下に向けるような言い方。
自分よりどう考えても年下に見えるのだが、何故か気にはならなかった。
「は、はい。」
ビスケの問いにコクリと頷き返事をする。
彼女の迫力(?)に圧倒されたのか、思わず敬語になってしまう美琴。
「それじゃぁ、気をつけてね。」
「……はい……。」
美琴の返事を聞き、ウノを担ぎその場から去ろうとしたビスケが急に立ち止まる。
「…?」
美琴が不思議そうにビスケを眺めていると、ビスケが彼女の方に振り向く。

「…あまり無茶はしないでね。」

ビスケはポツリと呟くように美琴に告げる。
その一言に様々な意味が含まれているような気がした美琴は、言葉を詰まらせてしまう。
「………。」
そんな美琴を見てビスケは優しく笑って口を開く。
「またね。」
そう言って彼女はまた美琴に背を向け歩き出した。
「…はい、また。」
美琴としては、そう言うだけが精一杯だった。
ビスケからなんとなく威圧感らしきものを感じたらしい。
(………なんか…すごかったわね。)
自分自身でもその感覚をどう表現していいか分からなかった。
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