BOOK〜HUNTERXINDEX〜

□H.I.I.W.5
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キルアが学園都市に訪れて4日目。

「なー、財然、」
学校の昼休み、上条はまたモヤシ炒めしか入っていなかった質素なお弁当を食べ終え、蓋を閉めながら財然に尋ねる。
財然もお弁当を食べ終え、机を挟んで彼の真正面に移動していた椅子を、隣にある自分の席に戻す。
「ん?」
財然は上条に視線を向け、動きを停止させる。
「…御坂とどう知り合ったんだ?」
上条は昨日の御坂の様子がまだ尾を引いているようで、少し曇った表情を浮かべている。
「…昨日たまたま彼女の落し物を拾ってさ、それでなんとなく意気投合して…。」
「…そうか。」
上条はもう少し何か聞きたそうな顔をしていたが、それ以上口には出さなかった。
「「…………。」」
二人の間に僅かだか沈黙が漂う。

ブーーーーッブーーーーッ

そんな二人の沈黙を破ったのが携帯電話のバイブ音。
それは財然のポケットからである。
彼女は急いで携帯電話をとりだし、ボタンを押す。
「…も、もしもし」
そして周りに気付かれないよう、(上条には気付かれているが)少し屈みながら声を出す。
『分かったわよ!』
電話口から大きな声が聞こえる。
元気良い少女の声…御坂美琴の声だ。
「………何が?」
上条に聞かれないよう財然は席を離れ、廊下に出る。
『笹川隆平の居場所が!』
彼女は興奮気味で財然に告げる。
何故こんなに彼女は早く調査することができたのか、と疑問を抱く財然。
だが、美琴はそんな彼女の様子に気づくことなく続ける。
『電話じゃなんだから今日の放課後、直接話すわ。昨日初めて会った自販機前で待ってるから!』
美琴は自分の用件だけ伝え、財然の返事を待たずプチリと電話を切った。
(本当積極的に協力するな…。)
嬉しい反面、複雑な気持ちもある。
このことに関われば関わるほど、彼女の危険が増してしまうから。
彼女にもしものことがあれば、アレイスターの逆鱗に触れかねない。
(そうならないように、頑張らないとな、俺。)
彼女はそんなことを思いながら、席に戻り暫く携帯をボーっと眺めていた。
「…大丈夫か?」
そんな財然を心配するように、上条が声をかける。
「うん。ちょっと考え事してただけ。」
そう言って、彼女は曖昧に笑った。
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