BOOK〜HUNTERXINDEX〜

□H.I.I.W.4
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「と、友達の家にいちゃ悪いの?」
美琴は漸く咳が落ち着き、顔を真っ赤にしながら、涙目で上条を睨んでいる。 
「悪くはねぇけど…」
上条は少し複雑な面持ちで鍋を財然に渡しながら、答える。
複雑というより、ソワソワした表情といった方が正しいかもしれない。
インデックスと一緒に住んでいる(あえて同棲とは言わない)と彼女に知られたら高確率で軽蔑され電撃を浴びせられる、と彼は考えていたのだ。
無駄だと知りながらも、必死で彼は神様に懇願する。
(インデックスが絶対に家から出てきませんように!神様お願いします!)

案の定、その願い虚しく、上条宅から銀髪シスターことインデックスが飛び出してきた。
「とうま!私もお礼いいたいんだよ!」
少し不機嫌そうに頬を膨らませ、上条と財然のもとに駆け付ける。
「…どういうこと?」
美琴は驚愕した表情を浮かべ、呟くように問い掛ける。
「こ、これはですね、そのー…」
上条からは、大量の汗が勢いよく吹き出してきた。
冷や汗というものだ。
「あー、短髪!なんでここにいる……んだ…よ?」 
インデックスもただならぬ雰囲気を感じとり、途中から威勢がなくなる。
「一緒に住んでるの?」 
美琴の妙に冷静沈着な声が、よりその場の雰囲気を凍り付かせている。
美琴の表情は恐怖を感じるほど無表情だった。
いつも上条に罵声を浴びせ、激怒している美琴ではない。
「これには深い事情がありまして…。」
上条はひきつった笑顔で頭を軽く左手で掻く。
この時、彼は右手に意識を集中させていた。
怒鳴り声と共に電撃でいつ攻撃されても良いように。

「…あっそう。」


上条の予想に反して美琴の態度はあっさりとしたものだった。
特に暴れることも憤慨することもなかった。
美琴は微動だにせず、座ったままである。
ただ俯いているので彼女の表情は読み取れない。
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