BOOK〜HUNTERXINDEX〜

□H.I.I.W.2
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次の日…‐
キルアが学園都市に訪れて3日目。

「これまた偶然だなー。」
上条は隣の席に座る財然に笑いかける。
「うん。こういうこともあるんだね。」 
彼女もまた笑顔で頷く。
現在、彼等は学校の教室内にいる。
彼等は偶然にも同じクラスとなり、さらには席が隣になった。
「上条もお弁当作ってるんだね。」
「いや、今日はたまたま…賞味期限ぎりぎりのもやしがいっぱいあったから、つっこんできただけでして…。」
上条は持っていたお弁当の蓋をあけ、財然に中身を見せた。
その中身は、もやしと何かを混ぜたもやし炒めと白いご飯だけだった。
誰が見ても貧相で同情したくなるお弁当である。
「……もしよければ、ハンバーグとかいる?」
財然は自分のお弁当の蓋をとり、上条に見せる。
彼女のお弁当の中身は、ハンバーグ・卵焼き・サラダ等々バランスが取れた非常に良いものであった。
「…良いんですか?財然さん。というかこんな幸せがあっていいんでせうか…。」
上条が今にも喜びのあまり泣き出しそうな顔で財然を見つめる。
「良いって。あんま食べる気しなかったし。…(ビスケが作ったのなんて食欲そそらねー)…。」
「…ん?」
財然の最後の方の言葉が聞き取れず、怪訝な顔をする。
「いや、なんでもない!それより、どーぞ。」
彼女は話を強制的に終わらせるため、自分のお弁当を上条の方に近付けた。
「…ほんと、ありがとうございます。神様財然様!」
上条がハンバーグを取ろうとした時、廊下の方から男達の声が聞こえた。
「「かみやーん。」」
「お前ら、昼買いに行ったんじゃねーのか?」
上条の視線の先には、金髪サングラスの土御門と青髪ピアスが立っていた。
彼等は引き攣った笑顔でゆっくりと上条へと近づく。
「まただにゃー。…また迷える子羊が一人、カミジョー属性の手にかかってしまったぜよ…。」
「なんでかみやんばっかり。」
上条へと近づくにつれ、彼等の纏っているオーラは殺気だっていた。
「…なんなんだよ、一体!」
「かみやんが箸で掴んでいるのは、女子の手作りハンバーグだにゃー。」
「かみやんはもやしだけ食べればええんや。」
そう言った青髪ピアスは、上条に襲いかかると見せ掛け、彼が掴んでいたハンバーグに噛り付いた。
「ああー!俺の、俺の…。」
あまりにショックすぎたのか、上条は口をパクパクさせている。
「うまい!」
ハンバーグを飲み込んだ後、満足そうに感想を述べた青髪ピアスは満面の笑みを浮かべている。
「……上条?」 
最初に上条の異変に気付いたのは、財然。 
「どうしたんだにゃー?ふるえてるぜよ、かみやん。」
その次は土御門。
彼は何かを悟り、一歩二歩上条から距離をとる。
「青髪ピアス!おまっ…‐!?」
上条が怒鳴りながら、席を立とうとした瞬間、膝が机の裏側部分に直撃し、机が大きく揺れた。

ベチャッ

上条は嫌な予感がし、音がした方を見下ろす。 
「あ…お弁当が。」 
言葉を発したのは彼ではなく、傍観者のごとく隣で座っていた財然だった。
机の上にあった上条のお弁当が中身を撒き散らしながら、床に落ちていた。 
「……不幸だ。」
上条は肩を落とし、力なくまた座る。 
ちなみにすでに青髪ピアスと土御門はこの場にいなかった。
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