※「本気で恋してたんだ」の悠太Side。下に祐悠のオマケ。 「じゃあね、悠太くん。今日はありがとう」 「うん、ばいばい」 悠太は高橋さんと別れた。家まで送って、これでお付き合いはおしまいです。 ひとりで家まで帰っておやすみしたら、また何気ない日常に戻るだけ。別に今までが非日常って言いたい訳じゃないけど。自分にとっては不自然な気がした。 付き合いから得たものは、あんまりない。でも、高橋さんは何かが変わるきっかけになっただろうし、結果オーライということで。 個人的には、これをみんなに黙ってたのが今になって申し訳なくなってきたかも。 嫌だよね、いつも一緒にいるのに、隠し事してました、みたいなね。 (そうでもないか……尾行とかしてたし) それと、あともうひとつ気付いたこと。 付き合ってる間、ずっと何か足りない感じがしてた。 (付き合ってる間、ずっと心に穴が空いてた気がした) いつもは何かで満たされてる真ん中の部分。もちろん今でさえそれが何かも分かってない。だから余計に気になる。 (………分からないって、俺も結構年ですかね) ひとりで歩く帰路に、綺麗で悲しい赤が照っていた。 ―――――――― 「ただいま」 ……けれど返事はなかった。あれ、祐希もう帰ってるよね?それとも無視ですか。 「ゆー、き?」 リビングに向かったら、祐希くんはソファーの上でおねむのようでした。すー、と寝息をたてて、安らかな表情で眠ってた。 それを見た瞬間、ちょっとほっとした。理由はよく分からない。 (………毛布掛けてあげなきゃ、) 風邪ひくもんね。お兄ちゃんの立場だとすぐこういうことに気付きます。 毛布を取ってきて、祐希に掛けてやる。 一体この子は何に疲れてこんなところで寝ているの。昨日も夜遅くまでゲームするのかと思いきやすぐに寝てたし。 (…何かあったのかな) ゲームデータが一気に消し飛んだとか?間違えて上書きしちゃったとか?欲しかった漫画の初回限定版売り切れだったとか? 色々考えて、改めて祐希の顔を見てみた。やっぱり、幸せに包まれて寝ています、って感じじゃない。 (………何か不安だった?) 俺がどっか行っちゃうと思った? このまま一生一緒に帰ることなんてないなんて思った? まぁ、その場合、不安にさせたのは俺ですが。 ……てゆーかなんで祐希の不安要素が自分かもしれないことにこんなに期待してるの。 (あー………、) ほら、認めちゃった (でもね、その度にちょっと怖くなる) (駄目駄目なお兄ちゃんだね、俺って) 祐希欠乏症、かも。(祐悠) ―――――――― 「…ん〜……」 あれ、いつの間にか寝てたんだ。ぼやけた視界の中、辺りは暗いままなことに気付く。もう夜じゃん。なんで電気ついてないの。 (あ、) なんか体が重いなって思ったら、自分に毛布が掛かってた。これは自分が眠る前にはなかった筈。 誰かが掛けてくれたんだ。 (てか、誰かなんて分かってますけどね) ほんと、優しい人。柔らかいぬくもり。 「あ、起きたんだ」 「!」 「…何びっくりしてんの」 「だっていきなり声掛けてくるから…。てか、いたんだ……」 悠太は、床に座ってソファーに寄り掛かる感じで、俺の足の近くにいた。 「いちゃ悪いですか」 「全然。むしろ、いて」 祐希がそう言うと、悠太はちらりとこちらを見て、少しだけ微笑む。だから、そういうのにときめいちゃうんだってば。 そろそろ起きなきゃな、と、だるいけど起き上がって、毛布をたたむ。 「あ、これ、ありがと」 「うん……。でも、こんなとこで寝ちゃ駄目でしょ」 「…すいません、今ちょっと病気でして。」 「(だったら余計駄目じゃないですか…)何の病気?」 瞬間、悠太は肩にいきなり重りを乗せられた感覚。それと、暖かさと、ほっとする匂いと、祐希の腕。 「悠太欠乏症」 ――――そうだ、これだよ、足りてなくて満たされてなかったものは。 「…………俺も。」 祐希欠乏症、かも。 (認めちゃってもいいよね、) (だって、祐希と同じだし) (自分の気持ちに嘘はつけません) <あとがき> 結局何が書きたかったのかサッパリ(笑) 文章が所々おかしいですが、そこは目を瞑って下さいなm(__)m ここまで読んで下さりありがとうございました 20100527 |