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□No.1
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高校一年生の三学期が終わり無事に進級出来る者にとっては天国のような日々、春休み。
その日も昨日と変わらない休みを過ごすはずだった。

寮で朝食を済ませノンビリしていると、寮母さんに電話がきていると呼ばれた。携帯があるのに何故…?
不思議な気持ちで電話を取ると相手は意外な人物で…学園の理事長だった。
理事長が一生徒に個別に電話をかけるなんてありえない。などと考えながら受話器を耳に当てていると、今から学園に来て欲しいと…。
一体自分は何をしたのだろうか?呼び出しをうけるような事はしていないはずだ。
自慢じゃないが成績だって優秀と言える順位を常にキープしている。
不安な気持ちを隠しつつ、わかりました。とだけ伝えて電話を終えた。



制服に着替えた彼女は、月光館学園の理事長室にいた。


「わかりました。でも、もう少し早く伝えて欲しかったです」

「いや〜、ホントに申し訳ないね。でも、アッチの寮には君と同学年の女の子がいるから、今のところより楽しくなると思うよ」

「そう、ですか〜。…それは少し楽しみになってきました。じゃ、戻ります。荷造りしないと」

「あぁ、アチラの寮には話しは済んでいるから安心していいよ」

「はい。では、失礼します」

「頑張ってね…」



理事長の話しでは学園の寮は一年に一度見直しがありその時、寮の移動もあるらしい。私が居た寮は学園から一番近い場所にある。だから移動も多いらしい。でも、理事長が直々に…って珍しいんじゃ…
と思ったが考えるのはやめた。考えたってわからないし。今の寮はいい人ばかりで楽しかったけど残念ながら同学年の子がいなかった。だから新しい寮がどんな所かもわからないけど純粋に楽しみだった。


荷造りが終わるころにはすっかり夜だった。学園から戻って皆に話して、夕食時にはささやかながらお別れパーティーをしてもらって…。


「あ、コレは自分で持って行こう」


荷物は明日朝一で届けてくれるらしい。
とりあえずの身の回りの物を小さなバッグに詰めて寮を出た。
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