GS

□7話
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今日は例のグループデートの日。
もう6月に入り晴れている日は夏のような陽気だ。
小雪の服装はバッチリ可愛い系の言うなればウルトラキュート。
適当に動きやすそうな服装で行こうとした小雪に前もってカレンが釘をさしていた為だった。
モデルになったからには普段の服装も流行を意識したものにするように、と。
そんなわけで今日はソフィアで揃えられるコーディネートにしたわけだ。

しかし、バッチリな服装も台無しになるんじゃ…と言うくらい今の小雪は走っていた。
完全に遅刻である。
理由はあるにはあるのだが…


「ご、ごめんなさい!」


到着一番、みんなの顔を見る前に先に謝る小雪。
顔を上げるとやはりみんな来ていた。


「人を誘ったヤツが遅れるなよ」

「ホントそうですよね…ごめんなさい」


設楽に言われひたすら謝る小雪に紺野が何か理由があったんじゃないの?
と聞いてきた。するとカレンたちも集まってきて、そうそう。と言っている。


「ま、まぁ一応は。実は、変な人に捕まって…」


話を聞くとバス停に着く前に男性に声をかけられ困っていた所に
違う男性が現れて助けてもらったのだと言う。
聞いていた誰もがそれってナンパなんじゃ…と思っていたが小雪本人は
そう思っていないようだった。




気を取り直して園内に入った一行。
みよからの助言(?)で最初はジェットコースターに乗ることになった。
カレンとみよはそれぞれ琉夏くんと琥一くんと乗るらしい。
おそらく先輩たちより仲がいいからだろう。
ここで小雪は設楽と乗らなければいけないが不自然にならないようにするためには…


「紺野先輩、設楽先輩。ジャンケンしてください」

「は?なんでだよ」

「まぁまぁ。さ、行きますよ。ジャーンケーンポイ!」


小雪の妙な掛け声に乗って二人のジャンケンは行なわれた。


「はーい。負けた設楽先輩は私と乗りマース!さぁ行きましょうー」

「……仕方ない、行くか……」


わかりやすすぎる小雪の演技にとりあえず乗ってあげた感じの設楽は
紺野と千尋が歩いている前を小雪と並んで歩いていた。


「おまえ、演技下手だな」

「え?!かなり頑張ったんですけど」

「あれでか?バレバレだろ。いくら紺野でも気がついたかもな」

「そ、それは困るなー。どうしよう」

「今日は休日で人が多い。大人数で回るのは大変だからこのまま2人ずつ回ろうって後でメールでもしてやれ。
はぐれた感じにすれば大丈夫だろ」

「設楽先輩…頭いい」

「おまえ、それはイヤミか?」


とりあえずジェットコースターにはこのまま皆で行ってその後さっきの作戦を実行しようとカレンとみよに伝えた。
そんなやり取りをしているうちに長い待ち時間は終わり小雪たちの順番がまわってきていた。


「い、一番前か…設楽先輩ってこういうの平気なんですか?」

「別に、好きでも嫌いでもない…て、おまえなんで目瞑っているんだよ?」

「え?特に意味はありません」

「もしかして怖いのか?」

「違いますよ!ジェットコースターは好きです」

「は、ってことは」


そんな会話中にもジェットコースターは角度をどんどん上げて行く。高いところまでゆっくり登って一気に駆け下りるタイプだ。


「ほら、なかなかいい眺めだ一番前だからな。目、開けてみろ」

「あ〜ほんとですねー」


そう言っても小雪の目は堅く閉じられている。
高いところ苦手なのか?と聞いた設楽に反抗しようと小雪は思わず目を開けた。


「ぎゃー!落ちるー!!ズルッて落ちる、ツルンって居なくなるー!」

「意味わかんないこと言うな。落ちないし居なくなれるわけないだろ。もう、黙って目瞑ってろ」


ジェットコースターはそのまま頂上までゆっくり登った後一気に駆け下りた。
小雪はあれだけ騒いでいたのにスピードが出た瞬間から楽しそうにケタケタと笑っていた。


「あ〜楽しかったー!」

「おまえ、怖がるか楽しいかどっちかにしろよ」

「だから、ジェットコースターは好きなんですよ♪設楽先輩は楽しくなかったですか?」

「首が痛い…まぁ、楽しくなかったわけでもない。おまえを見てると飽きないからな」


フフっと柔らかく笑った顔を見た小雪が設楽を見て固まっている。


「どうしたんだよ?」

「…なんか、可愛い…」

「はぁ!?可愛いってなんだよ」



そう言った小雪は更にじーっと設楽の顔を見上げていた。
さすがに設楽でもこんなにじーっと見られると恥ずかしいのか少し焦っているように見える。
あれだけすぐ人にカッコいいとか可愛いとか言う小雪なのに設楽に言ったのは初めてだった。まぁ、言った言葉は可愛いなのだが…


「いつもそんな感じだったらいいのに」

「そんなってどんなだ?」

「ふんわり?可愛く?だっていつもツンツンしてるし」

「ツンツンってなんだよ。俺はそんな感じ悪いのか?」

「それはもう。だって私たち第一印象最悪じゃないですか」

「まぁ、確かに」

「そっか。ツンツンの中の可愛さだから価値があるんですね!うん。私はそのままの設楽先輩が好きです」

「好きって、おまえ…」

「はい?」


そう言う事誰にでも言っているのか?と聞かれ、そう思った時は。と答えた小雪に設楽はため息をついていた。
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