総受けな帝人


□彼を奪還せよ
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「帝人くーん」

そう言いながら笑顔で追いかけて来る青年_折原臨也は竜ヶ峰帝人の事を追っていた。
対する帝人はというと、変態から逃れる女子高生のような泣きそうな顔をしていた。

「いっ 臨也さんっ なんなんですかー!?」

と、さっきからしきりに叫ぶ、その答えはいつも「君が待ってくれたら教えてあげるよ」と言うだけだ。

帝人も飽きれ、ただひたすらに逃げる、それを臨也は追う。

するとその鬼ごっこも終止符が打たれる。

「なっ」

帝人の前には巨大な壁、帝人は完全に逃げ場をなくした。

それがわかった瞬間、臨也の足取りはゆったりとしたスピードで口許を歪ませ、帝人が逃げ出さぬように両手を帝人の背後の壁につけ、帝人を閉じ込めた。

「みーかーどーくんっ」

「つっかまえた☆」

臨也はいつもの作り笑顔ではなく、悪意と欲に満ちた笑顔を見せていた。

「今日は逃がさないよ」

「……ッ」

「今日はねぇシズちゃん ちょっと遠くの方の仕事みたいだからさ 今日は助けにこないよ?」

「あ……あ……っ」

「本当にシズちゃん(助け)がないと君は無力だ」

だから、俺が守るよ

そういって帝人を抱き締め、そのまま何か催眠作用のある薬品を帝人に嗅がせた。

帝人はいとも簡単にそのままガクリと臨也の腕に落ちた。

「さぁ!帝人君! そのまま俺の家で一生俺だけの小鳥で居てくれ!」

裏路地で高らかに笑いあげる臨也。
その姿をみた一般人たちはそれを見てはそそくさと何も見なかったことにして過ぎていく。

Rrrr…

帝人のブレザーのポケットから携帯がなる。
臨也は素早くそれを引き抜き、通話ボタンを押した。

『もしもし竜ヶ峰か?』

「もしもしシズちゃん?」

『!? てめ臨也!何してやがる! その携帯は竜ヶ峰のだろ!?』

「くくく……ははは! 君の大事な大事なお姫様は今俺の腕の中でおやすみ中だよ」

『臨也…何しやがった』

「何ってやだなぁシズちゃん 君の大切な人を奪うのと俺の愛しい帝人くんを俺のものにしたまでさ」

そう言うと相手の返事も待たずに電話切った。

そしてそれを自分のポケットに入れ、そのまま眠っている帝人を連れ、自宅へと帰宅した。

勿論、帝人を嫌う矢霧波江のいないマンションへとだ。

「楽しみだね 帝人くん」
臨也はそう呟き、笑った。

至極楽しそうに、歪んだように、愛しそうに、狂喜のように。










これは歪んだ恋の物語。







***
何がしたかったのだろう
たぶんきっと臨也を狂わせたかったんだと思う。

うん、そういう事にしとこう。

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