臨也×静雄

□命がけなツンデレ!
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「……んっ…」

目が覚めるると、突然襲ってきた腹部の痛み、それに顔をしかめると、

「あ、起きたか?」

シズちゃんがベストを脱いだ姿で立っていて、「シズちゃんってば俺が寝てる間に何したの?」と聞けば弱い力で額を叩かれた。

ペシンといい音がしたが、大した痛みもなく額を押さえ上半身を起こす、あれ、ここって…

狭い寝室だった。しかも俺の家じゃない、多分

「シズちゃん家?」

と声をこぼすと「あぁ」と短く返された。

「え?まじで?おかしくない? あのシズちゃんが俺の事を自宅に運んで、そのうえオンザベッドin寝室シズちゃんはワイシャツ姿、俺は中に着てるブイネックにジーンズ……」

色気もなく いやぁん と言えばシズちゃんは 変な声出してんじゃねぇ と耳まで真っ赤にしてた、何この初いの。可愛い……。

「変な事はしてねぇよ ただ手前がなんか重要なこと言ってたから気になって連れてきただけだ」

は? 俺は間抜けな声をだす、気になる?俺の発言?あら珍しい。

「だ、だから…そのっ……」

シズちゃんは照れ隠しみたいにあわあわとし、俺と視線を合わせようとはしない。

そんなシズちゃんに向かって腹痛を一時的に噛み殺し勢いよく飛び付くと油断してたシズちゃんをそのまま床に押し倒す形となった。

「な…っ!」

シズちゃんは顔を真っ赤にしてる、可愛いなー
俺がニヤリと口角をあげ笑って見せると顔を更に真っ赤にして目を背けた。

「愛してる」

先程言ったセリフを真っ赤な耳に囁けば吐息が耳に当たったのかな、ビクッと身体を強ばらせる。

「あれ?期待しちゃってるー?シズちゃんのえっちー」

「…っ期待なんかしてねぇから早く退け…!」

素直じゃないね と呟き耳にふっと息を吹っ掛ける。
すると面白いくらいにビクビクと震える肩、あぁ可愛い……!

もっと苛めたい、『好き』の虐めをしてあげたいけど、もっと面白い虐め方が浮かんだから止めてあげるっ

突然止んだ愛でにシズちゃんは羞恥を宿した瞳で俺を見上げてくる、俺はもっとしてあげると言った意思を瞳に宿すと、シズちゃんは少しビクリと肩を震わせ、目尻には涙が少し溜まっていた。

期待し、愛撫を受け入れるように目をつむるシズちゃん、俺がしようとしてることも予想つかないでしょ?

俺はシズちゃんから顔を離し、上半身を起こす。
シズちゃんの腹の上に座る体制になった。

「……… ?」

シズちゃんは不安げに目を開き、俺を見つめる。

「臨…也……?」

そんな心底不安そうな声ださないでよ、また『好き』の虐めをしたくなっちゃうじゃん。

我慢できずに唇に触れるだけのキスを落とす。
シズちゃんは嬉しそうに目を細めた。
かわいいな、やっぱり。
今度こそ虐めてあげる。

もう一度シズちゃんの腹の上に座る形になると俺は冷めた目をする。
シズちゃんは目を見開き、こめかみに汗を流す。

「臨也…?」

「飽きた」

そういうと少し焦った顔する。

「えっ…?」

つい零れてしまった、そんなニュアンスの声。

「いい加減 今までの事が嘘だったって気づきなよ 鈍感」

一番冷たい声と目で言う。
目で見てわかるほどに驚いて、泣きそうな顔、あぁ、わかりやすい。

「『愛してる』も[キス]も[愛撫]も全部俺の気紛れ お遊び」

「な…なら何で…!?」

そんなバカげた質問やめてよ。
笑っちゃうだろ?

「だから こういう事して嫌がるシズちゃんを見たかったのに、何で嬉しそうな顔をするのかなぁ?」

「…っ! そんなことな「あるよ じゃあ何でキスを抵抗ないの?」

「そ…それは…」

「キモチイイからでしょ?気色悪い 男同士のキスを良がるなんて…」

精一杯自分に嘘を吐いて真逆の事を言う、あぁ、これ結構こっちも傷つくなぁ

「…………んだ」

シズちゃんが微かな声をあげた。

「ん? 何?」

あ、今ちょっと声が震えた……バレたかな?

「ならなんでお前は泣いてんだよ?」


えっ?


ふと気づいた時にはシズちゃんの頬にシズちゃんのじゃない滴が伝っていて、はっと自分の頬に手をあてると水気があった。

「…な…んで……」

あぁ、本当に何でだ?
傷つけていたはずなのに涙が出てる、まぁ、確かにシズちゃんを虐めてて罪悪感がないかと問われれば嘘だ、罪悪感だらけだった、でもこんな、涙なんて…

気づいたら、俺はシズちゃんの胸に顔を埋め、声を殺して泣いていた。
シズちゃんは気づいたのか気づいてないのかわかんないけど、頭をその大きな手で撫でてくる。

「臨也」

突然名前を呼ばれ、少し目を開く、そこには勝った、と言った顔をしたシズちゃん。

「何?」

「嘘だろ さっきの気紛れだとかっての」

「…!」

何でバレた?
いや、シズちゃんが鎌かけてるのかも、いやでもこの目は確信を宿してる。

仕方なくため息と共に泣くのを止め、シズちゃんを見つめた。

シズちゃんは勝ち誇ったような、泣きそうななんとも言えないが、嘘を吐いていない目をしていて、とても真っ直ぐだった。
あぁ、うらやましいなぁ、俺はこんなひねくれ者なのに、化物じみてる君の方が俺より綺麗な目をしてる。
うらやましいよ、ほんと。

「あぁ、全部嘘だよ? よくわかったね、鈍感な癖に」

「はっ 嘘でこんな危険な真似、手前はしねぇもんな」

「ははっ まったくだ」

俺は自嘲混じりに苦笑した。

そして俺はそのまま立ち上がり、帰ると言ってシズちゃん家をあとにした――つもりだった。

突然左腕を捕まれたかと思うとそのままシズちゃんの方を向かされて、そのままもう一方の腕で腰を寄せられ、半ば強引キスされた。

俺は何が起こったのか少し時間が経ってわかった。

羞恥に頬が熱くなるのがわかる。
唇を離そうにも腰をしっかりと捕まえられているため逃げられない。
そろそろ酸欠になって死んじゃうよ…
そう思い右腕で必死にシズちゃんの胸叩く、
やっと酸欠死しそうになったのを理解したのか、離してくれた。

「…っはっ……っはぁはぁ……」

「情けない奴だ こんだけの時間で息切れか?」

「ふん シズちゃんには言われたくないね 君と俺じゃ身体の構図は同じでも性能が違うからね……」

そう言って荒い呼吸を整える。
シズちゃんは、ははと笑いそのまま俯き、声を発した、

「……うなよ」

「は?うな?蚊に刺された?」

そんなボケをスルーし、

「嘘とか言うなバカ」

まるで女子みたいな台詞を吐いた。
え?なにこのかわいいの。

「キスは嬉しかった… 嘘とか言うな傷つく」

いや、俺は傷ついた君が見たかっただけなんだけど。

「臨也のバカ」

「あぁ、俺はバカさ 嘘、と言って傷ついた君を見て楽しんでた」

本当の事を言ってみる

「……ざけんなよっ…!」

涙目で嬉しラリアットをかましてきた。
そのまま俺は昏倒した。

まったくシズちゃんのツンデレは下手なヤンデレよりも怖いね、まったく困ったなー。




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