臨也×静雄

□戦利品
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池袋_某公園 昼。


折原臨也は池袋に来ていた、特別用事があるというわけでもなかった。

「今日はシズちゃんに会わない…実に良い日和だ」

臨也は独り言を呟くながら公園内を宛もなく歩いていた。

すると、嫌というほどに見慣れた金色の髪を持つ男がベンチに座っている後ろ姿が見えた。

「……ッ」

臨也は苦虫を噛んだような顔をし、ジャケットの袖から畳んだ状態のナイフを取り出し、一歩一歩その人物に背後から近づく。

そして

「白昼堂々とこんな公の場で死ぬなんて 間抜けなシズちゃんだ まっ無様な死に様はシズちゃんに合ってるよね………!?」

そう独り言を言いながらシズちゃんと呼ばれた平和島静雄にナイフを降り下ろした。

しかし、それは彼の身に触れる前に止められた。

静雄が受け止めたわけでもない。

そう、行動していた臨也がナイフを止めたのだ

「………」

臨也はつまらなそうな顔をし、静雄の顔を覗く。

「あぁ―やっぱり」

「……」

「お昼寝中でしたか」

静雄はいつもの血管を浮かべた顔からは思い付かないくらいの美しい顔で眠っていた。

「はぁーあ 殺る気失せちゃったー」

と、呑気な声を出し、ナイフを元の袖の中へと戻した。

「………はっ ムカつく」

臨也は呟いた。そして、


寝顔だけは綺麗なんだから


などと思ってしまい、それについてムカついていた、それだけではなく、静雄の寝顔を見て殺意を忘れたことに対しても苛立っていた。

そして、寝姿の静雄に一歩近づいて―――。















ちゅ











静雄の唇に臨也の唇を重ねた。

愛しく、
悪戯っぽく、
苛立たしく、
優しく、



「まっ 今日はこれくらいで勘弁しといてあげるよ シズちゃん」

そう怪しく口元を歪ませその場を後にした。














数分後_。

「………!?」

静雄は飛び起きた。


しまった!つい寝ていた…!
あっ!まだ走ればトムさんとの集合時間には間に合う!


咄嗟にそう考えをまとめ、懐からサングラスを取り出そうと手をポケットに突っ込むと――


ん?


サングラスがない、その代わりに臨也のサインが入った紙が入っていた。

それを苛立たしそうに開き、中身をみる。


怪盗臨也参上☆


と殴り書きしてあり、その下には――


自分と殺したい程ムカつくヤツが唇を重ねている写真が貼られていた。


静雄のこめかみからブチりと何か切れる音がした。

「いーざーやぁぁぁぁあああああああ!!!!!」

静雄は本日一番の叫び声をあげ、臨也のマンションに向かおうとしたその時、勢いよく誰かにぶつかった。

「………っ! 静雄っ」

「!! と、トムさん!?」

「お前なぁ 集合時間30分遅れ…」

「す すみませんっ」

気が緩んだその瞬間、ぱらりと握られた紙が地に落ちた

「ん? なんだこれ」

トムが拾いあげた瞬間、静雄の全身の血が引いた

そしてトムは紙と静雄を交互に見比べ、得策を口にだした

「今日の仕事はまだ時間あるから…… 行ってきていいぞ?」

そのセリフを聞いた瞬間、静雄は目を獣のモノへと変貌させ、

「ありがとうございまー」

す が聞こえるはずの時には静雄はすでにトムの前から姿を消していた。

そして、トムはもう一度その紙に貼られている写真を見て

「アイツ そんな命知らずの男なのか?」

と思っていた。






結局、今日は静雄が帰ってくることもなかった。

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