ゆりまたはにょたいか
□蕩けるような
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「最悪」
起きると身体がダルくて動けなかった。
うー と唸りながら腰を擦ってていると、波江が近寄ってきた。
「…」
顔を見るなり超不機嫌な顔をされた、そんな顔したいのはこっちだよ…
「戻ったのね」
冷徹鉄仮面美女が再降臨した。
ていうか、え?戻った?
バッと腰の痛みを我慢し起き上がると、胸の脂肪はなくなっており、股には懐かしい感覚…おおなんか感動した。
しかし、それで安心の脱力感でまたソファに雪崩れ込むように寝る。
波江は 仕事してちょうだいね とだけ言い残し机へ向かった。
その後ろ姿を見て先程行われた情事を思い出して背筋がぞぞぞっとなる。
はあ、とため息を吐き目を瞑る。
カツン 波江のヒールがピカピカに磨かれた床を叩く音、それが徐々に近づいてくる。
ゆっくりと目を開くと波江が三本の注射器片手に現れた。
何――、声をあげようとしたら、一本目の注射器を射たれた、あ、これ筋弛緩剤だ…身体動かない…
そのまま睨むと 滑稽ね と鼻で笑われた。くっ…
そして二本目を刺される、あれ、視界が歪む…先程の寝起きの悪さのように気だるい…もしかしてこの薬がー…
三本目は近くの机の上におかれた。
「あなたさっき 私が一枚噛んでるって言ったわね」
「あれ 正解よ」
にこり。
波江は恍惚とした笑みをこちらに向けた。
あーあ…