その他


□0と1
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無限に広がる白い空間にぽつりぽつり零れてくる青色

0と1の羅列の中にいる俺はその二つの色に属さぬ色を持つ

この色が"何色"なのかは知らない

ただ、どことなく暖かい色をしている

マスターが教えてくれた花の色に似ている


"桃色"


たしかそんな色の名前

ただ、桃という響きが可愛くて、この空間に"俺だけ"の色

それがとても誇らしくて、嬉しかった。














そんなある日、転機。


中型のスピーカーを片手にタバコを吸いならが現れた、俺と同じ"桃色"を持つ男


よう、と無愛想な口振り、表情で俺に話しかけてきた

俺は突然の侵入者に驚愕、嫌悪、侮蔑、憎悪…つまりあまり良い思いを抱かなかった


卒然、ビーッ!っと警告音


俺は一度ビクリと身を震わせた
男は俺同様一度反応を見せると、うるせぇなと言うなりタバコを下に落とし踏み潰し、スピーカーを置き警報の鳴る拡声器を素手で殴り壊した

拡声器は機械片となり、粉々になる
そしてまた0と1に戻って行く


「な…っ」

「うし これでちったぁ静かになったか」

「なん…っ」

「あ?」

「お前は何なんだよ!」


俺は取り敢えず思っている事を口に出す


「突然現れたかと思ったら警報器鳴るし しかもそれ壊すし 大体なんで俺以外に"桃色"が存在するわけ?ここは白と青と0と1と俺の空間なのに!」

「そりゃお前よ 俺たちはサイケデリック・ドリームスだからだろうが」

「………………は?」


初めて聞いた言葉、さ、サイ…?なんたら…


「だから お前が兄ちゃんで俺が弟だ サイケデリック・ドリームス」


俺は呆然とサイケデリック・ドリームスと名乗る男を見つめる
俺はたしかにマスターにサイケと呼ばれている、が、しかし
こいつもまたサイケだというのか…?


「俺たちは兄弟だ」




――オレタチハキョウダイダ?




その声が木霊する。


だが、俺の胸は痛む



あぁ、これは敵意?



















「君は俺の空間への侵入者だ 排除に値する」



銀色の刃物が手元に現れる
持ったこともないのに、扱える


服の色が黒く変色する
瞳の色が赤く変色する


あぁ、戦闘モードのマスターみたい


そのまま小さな刃物片手に『サイケデリック・ドリームス』に体当たりした―…
















サイケとデリ雄が出会う話

相対・会いたくない

2010.12.12

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