飼育日記


□03
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平凡なボロアパートのとある一室。

少年は非日常の真ん中にいた。

「ん〜♪」
「…」

猫は少年の左側で腕にすり寄り、犬は少年の右側で腹辺りで眠っていた。

少年は呟く

「何このカオス」

僕は別にこんな非日常を求めた覚えは一切ないんですけど…

「帝人くーん 電気消して」
「………ん……」

少年――帝人は二人の意向を無視して自分のPCの電源を入れた。

「甘楽さんがいないチャットルームでも覗いてますよ」

「いやぁん 田中さんがオフでセクハラしてくるー(棒読み)」
「田中さんて誰だよ トムさんか トムさんなのか?オイ」
「シズちゃんうるさい寝れない…」
「無視すんなよ」
「んー違う違う」
「なら別にいいや…くあっ…」

そう言って犬――静雄は大きく伸び欠伸をしてそのまま前に倒れた。

「むふふ」

猫――臨也は不適に笑うとそのまま起き上がり静雄の背中にダイブした。

「ニャーっ!」
「ぐえっ?!」
「シズちゃん破れたりーっ」
「殺す!絶対殺す!めらっとコロす!」
「いやぁんシズちゃんってば やばーん♪」
「うるせぇぇぇ!」

静雄は起き上がる力でそのまま背中にいる臨也を宙に投げた。

「きゃーっ」
「殺す!」

そんなやり取りをしていると帝人は徐に携帯を取り出したとある番号を眺める。そこに並ぶ四字は――、

その文字を眺めているとふいに臨也が覗き見しその場で一瞬で凍る、そのまま静雄に飛び蹴りされ、

「ぎにゃあっ!?」
「…っうし…!」

しゅたっと静雄が着地し、帝人の様子が可笑しいと思い自分も携帯を覗き見する。

そこに写るは 岸谷新羅 の四字
静雄はすぐに理解し、カッと目を見開き口をはくはくとさせ、そのまま後ろに倒れた。

帝人がそれに気づき、キャンセルボタンを押し携帯をほっぽり静雄に 大丈夫ですか…? と声をかけたが静雄は魂を抜かれたように動かなかった。

臨也は帝人にビクビクしながらゆっくり起き上がりながら蹴られた脇腹を抑えている。

「み…帝人…くん…それだけは…勘弁してお願い好きな情報タダ提供するから」

「いや…別にいいですから…大丈夫ですか?」

「君が言う?」

「えへへ…」

帝人は申し訳なさそうにふにゃりと笑い後頭部を掻いた。

「……んあ……」

静雄はやっと目を開きしばらく呆然と天井を見つめていた。

「あっ静雄さん起きましたか」
「シズちゃんやっと起きたー」

「……!」

突然思い出したようにビクリと身体を強ばらせ帝人から逃げるように後ろへ飛んだ。

「嫌だあ…!止めろぉぉ!」

膝を立て頭を抱えた(わかりやすく言うと体育座りの状態から頭を膝につけるような状態である。)

「嫌だあああああ!」
「シズちゃん…!大丈夫だから!」
「静雄さんっ…!」

帝人と抱かれ(そういう意味じゃなくて)、臨也に頭を撫でられ、静雄は落ち着きを取り戻した。

帝人は一人、

本当に新羅さんに何されそうになったんだろう…

とか考えていた。






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