飼育日記


□02
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「じゃあ取り敢えず岸谷先生のところに行きましょう」

帝人が思い出したらように言うと二人の動きがピタリと止み、それと同時に震えだした。

「あ…あぁあああ…!」
「………うわあああああ!」

「…ちょ……二人とも…!?」

「嫌だああああああ!」
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」

「と 兎に角落ち着いて…!」

帝人は慟哭する二人を抱き寄せ頭を撫で、宥めた。

数分経って呼吸が落ち着いた臨也が口を開いた。

「あ あのさ 帝人くん 君はバカか」

突然の貶しに眉間をよせる帝人の顔を見て臨也が違う違うと顔を左右に振る。

「俺達がここに直行すると思った?それよか腐っても医者ンとこに最初に行ったんだ
そしたらさ…あいつ…やっぱり腐ってたよ こんな情けない姿だから解剖させてっていいやがった…」

言葉を一度区切り、身震いする。

「ああ 思い出しただけでも全身が粟立つね… もうメスと麻酔入り注射器片手に迫ってくる姿はさながら変態のようだったよ いやあいつは元々変態か… ほら その証拠に怖いもの無しのシズちゃんの震え止まらないだろ?」

今だに震え、声を殺し泣いている静雄を指差しながら自身ももう一度身震いした。

そんな様子を見た帝人は

「あの人ってそんなに怖い人なんですか?」

と呟く。

「君は新羅の本性を知らないからそんな事思えるんだよ」

と臨也が自嘲気味に笑う。

「あ…う…ひく…ぐす」

「シズちゃん落ち着いて ここは帝人くん家だから」
「あの静雄さん 大丈夫ですか?」

帝人は丸くなって震える静雄の背中を撫で抱き締めた。
一瞬警戒のためにビクリと身体が跳ねたが、すぐに帝人の腕の中だと理解するとすがるように帝人の服を握った。

臨也はその様子を不満気に見つめ、帝人くんと声をかけた。
帝人はなんですか?と静雄を宥めたながら振り返った。

「とゆ事でしばらく泊めてね☆」

「は?」

「だから 新羅の魔の手から逃れるためにもしばらく泊めてねって」

「……そ…」

「…?」

「それが目的ですか!!」

帝人は思わず全力で静雄を抱き締めてしまった。

「ぐえっ」

「あっ スミマセン静雄さん!」
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