Novel
□君って…。
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「おまえ、また泣いてるのかよ。」
泣きじゃくる私に君はそう言う。
「泣いてないもん…。」
私は、少し掠れた声でそう言う。
これじゃあ、明らかに泣いてるのがわかっちゃうのに…。
「そうか?だったら何でさっきから俺の方に水が降ってくるんだ?」
―――雨が降ってる訳でもないのにさ―――
と君は冗談めかしにそう言う。
「…気のせいだもん。」
私は下に俯いていたのをもっと下に俯く。
君は、その私を見て私を抱き上げた。
―――ふわり―――
「ほら、やっぱり。泣いてるじゃねぇか。」
君は私の顔を見てそう言う。
「うっ…うぅ…。」
君はそのまま私が泣きやむまで抱き締めてくれた。