Novel
□Human'shart
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6.続 自分という存在
タスケテ。タスケテ。コワイ。クルシイ。ツライ。
どこからか、今にでも消えそうな悲痛な声が聞こえる。
聞いているだけで、だんだん悲しくなっていく。
あぁ、この人には自分がわからないのか。
ぽつりと言葉が漏れる。
案外自分は近くに居るのに…。
だけど、それを見つけるのは難しい。
見つけて、物にするなら尚更だ。
なんで、僕が知っているかって?
だって、僕もそういう時期があったからだ。
助けてあげよう。
このままでは、あの人は自分という存在を消してしまう。
早く…早く…。
いた!
そこには、大きな穴があった。
とても、深い。
そこには、君が居た。
君は、小さく小さく丸まって居た。
まるで、小さい子のように…。
僕は、何も言わずに手を差し延べる。
君は、びくっとする。
そして、少し怯えた表情で僕を見返していた。
僕は、また何も言わずただこくんと一回頷いた。
『大丈夫だから…。』
そう言葉を心の中で紡ぎながら…。