Novel

□Human'shart
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4.大っ嫌い

大っ嫌い。
あなたなんて。
大っキライ。
君なんて。
キライ、キライ、キライ…。
もう、あなたの顔なんて見たくない!!!

それは、痛烈な心の叫び。
本当は、こんな事言いたくないのに…。
だけど、この怒りは修まらない。
なぜなんだろう?
ただ、ちょっとした事なのに、なぜかどんどんムカムカして、イライラして…。
さっきから、なぜかそんな感じだ。
だけど、さっきからこの言葉を紡ぐと胸がチクリと痛む。
なぜなんだろう?
その痛みはだんだんと増してきてなぜだか泣きたくなる。
悲しくて、痛くて…。
なんとも言えないそんな感情。
大っ嫌いなはずなのに…。
そんなの構わず私は言った。
「大っ嫌い…あんたなんか大っ嫌い!!!」
言葉の最後には、痛烈な叫びになっていた。
それは、そう…今の私の心のように。
その言葉を言って、初めて気付いた。
君は、とても悲しそうな痛そうな悲痛な顔をしていた。
「………っ。」
なにか、言葉に出したいのにどうしても、喉の奥でつっかえてしまうようだ。
私は、とても後悔した。
『そうか…だから、こんなにも心が痛むんだ…。』
私は、どうしていいかわからなくて君を抱き締めた。
ぎゅっと抱き締めて、「ごめんなさい」と呟いた。
自然と涙が溢れてくる。これが、今私が精一杯できる事…。
「ごめん、ごめんなさいっ…。」
私は、ひたすら謝り続ける。
「……いいよ。」
ふと、君が呟いた。
私が傷付けたのに。
どうして、君はそんなに優しいんだ。
「…いいよ。僕が悪かったんだ。君に嫌われるような事ばっかしてきたんだから…。」
君は、私の頭をなでる。それは、とても優しくて優しくて…。
だけど、とても甘い罠のような言葉だった。

だから、私は君が大っ嫌いだ。
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