-victim-
□Retrace:W
1ページ/8ページ
なんにも変わっていない。
服装も身長も容姿も…
あれ?
オズってこんなに小さかったっけ…
10年前はあんなにもオズが大きいと感じていたのに…
なんて考えながらオズの頬を起こさないように撫でた。
『なんにも変わってないね』
「ああ。」
私はオズの寝ているソファーから立ち上がり、紅茶を取りにいく。
『鴉はコーヒー?』
「ああ。」
さっきから返事が変わっていない。生返事。
コーヒーを渡し、隣のソファーに座る。
「ギ…ル…リマ……?」
『「…………」』
オズが目覚め、私達の名をを発した瞬間、ドキッとしたが単に寝ぼけていただけらしい。
声、翠玉の瞳、金色の髪の毛
ああ、本当にオズだ…。
10年前と何一つ変わらない。
こんな立場ではなかったら、今すぐにオズを抱きしめ、『もう大丈夫ですよ。お帰りなさい。』なんて声を掛けられるのに…
『ブレイク目を覚ましたわ』
私は気持ちをそっと胸の中で押し殺した。
.