本文 1
□ハロゥベイビィ
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突然妙が吹き出したので、近藤は驚いた。
「え、俺、なんか変なこと言いました?」
「いいえ…近藤さん、結婚もされてないのに、すごくわかったようなこと言ってるから…。」
「?」
近藤は状況が飲み込めていなかった。
「私もそう思います。土方さんのように言われたら、私だって自分のせいみたいに感じる気がしますもの。」
「お妙さん…。」
「近藤さんは肝心な女心は疎く無駄が多いのに、自分の領域外の女心には聡いですね。」
「なんか、誉められてる気がしません…。」
「あら、誉めてませんもの。でもそれをそのまま副長さんにお伝えして差し上げたらどうです?」
「え?」
「鬼の副長も、あなたの言うことはよく聞かれますし、土方さんはそういうことに疎そうですから…。」
「そうですね、そうします。女性の意見が聞けてよかった。ありがとうございます。」
近藤は微笑んだ。
妙もつられて微笑んだ。
「あなたと結婚したら、幸せになれますね。」
「じゃ、お妙さん。ちゃんと真剣に考えてくださいよー。俺、毎日プロポーズしてるでしょ?まずはお付き合いからでいいですから…。」
妙は近藤を見ずに、空いたグラスにまた水割りを作り始めた。
「やっぱ、ダメっすか?」
カラカラとグラスの中で氷が鳴った。
「考えておきます。」
「なんだよ…やっぱ…。」
「え?」