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□ホタルノヒカリ
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しばらくすると、一匹のホタルが俺の手のひらに近づいてくる。
手のひらに舞い降りた光に、不思議なほど温かく、優しい気持ちにさせられた。
「逢いに来てくれたんだな、ミツバ殿…。」
俺は、その言葉にハッとして近藤さんを見た。
すると近藤さんの周りには無数の小さな光が行き交っている。
「近藤さ…ん…。」
「みんな逢いに来てくれたみたいだ…。」
俺たちは、儚く美しい光に包まれた。
「近藤さんは人気者だな。」
「ははは…不遇を受けた隊士たちが文句言いにきてるのかもよ。」
「近藤さんに限って、そらねぇでサァ。きっと、伊東先生たちですゼィ。」
「じゃあ、ますます文句じゃん。」
2人して顔を見合せ、笑う。
「きっと違いますゼィ。感謝を全身で表現してるんでサァ。」
「だと…いいな…。」
近藤さんは光に向かい優しく微笑む。
俺はそれを見て更に微笑んだ。
そして手のひらの光を見て呟く。
「姉上…おらぁ、もう少しがんばりまサァ。近藤さんにまだまだついて行きてぇから…。」
手のひらのホタルは、返事をしたかのように点滅をすると、手から離れていった。
俺の口の端が、少しあがる。
俺たちのヒカリは、決して自分を見失わない。
だからそのヒカリを目指していれば、俺は…真選組(おれたち)は自分を見失わない。