Novel

□恋の先にあるもの
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離れていたこの2年、
ルフィの事を・・・想わなかった日なんてなかった。


私の心はずっと、変わっていない。

会えなくても、声を聞くことが出来なくても・・・
ずっとずっと、この想いは変わらない。


ルフィに出会って初めて、永遠に変わらない想いがあることを知った。














魚人島へ出航した、その日。



2年ぶりのサニー号は、ちっとも変わっていなくて、
私はやっと帰ってきたんだ、と実感した。

ルフィも、ゾロも、ウソップも、サンジ君も、チョッパーも、ロビンも、フランキーも、ブルックも
誰1人欠けることなく、こうしてまたみんなと冒険できることが
何よりもうれしい。




2年という時間のなかで、それぞれがどんな日々を過ごしたのか。
どんな出会いがあって、どんな別れを経験したのか。

気にならないといえばウソになるけれど、
今はそれよりも全員が無事に再会できたことのほうが大切なんだろうと思う。




それぞれが笑顔で語り合っている仲間たちを横目に、
私は測量室へと向かった。





「・・・やっぱり、ホコリが積もっちゃってる」



シャボンディ諸島に着いてすぐに掃除はしたのだけど、
本棚のなかの本の上にはうっすらとホコリが積もってしまっていた。



「ちゃんと掃除しないとね」


これからまた、この部屋で海図を描くことができるんだと思うと、
ホッとするようなそんな気持ちだった。



―――――アーロンパークのことが思い出される。


ここは、あの居たくもない私の居場所じゃない。

ルフィがくれた、私の本当の居場所なんだ。



そう思うと、自然と笑顔になった。



「・・・よしっ!」


気合いを入れて掃除をしようとすると、
ノックもせずにドアを開ける音がした。





振り返ってみると、そこには予想通り、


「ルフィ・・・・」




私の、大好きなひとがいた――――――








「・・・・・」


ルフィの顔は、再会したときのような明るい笑顔じゃなかった。


ただ、私をまっすぐな瞳で見つめていて、
その注がれる視線に、私の心はうるさいくらいに反応しだす。




「・・ルフィ・・・?」


なにも言わない彼に呼びかける。



すると彼は突然、


「手、伸ばせ」

と言った。




「・・・手?」


思わず聞き返した。

なんのこと??


頭の上にクエスチョンマークを浮かべていると、
彼がまた言った。


「いいから、手、伸ばせよ」

その言葉と瞳に急かされて、合っているのかどうかわからないけど
私はルフィに向かって右手を差し出した。





ルフィはそれを見ると、私のほうにゆっくりと近づいてきて、

ルフィの右手が、そっと、優しく私の手を握りしめた。



そして、私の大好きな、太陽のような笑顔で言った。



「・・・やっと、届いた」






その瞬間、ようやくわかった。


2年前の記憶がよみがえる。




(ルフィ!!)

(ナミ!!!)


(助け、て・・・)




あのときのルフィの悲痛に満ちた表情を、
1日だって思い出さない日はなかった。





「やっと・・・おまえの手、つかめた」

「ルフィ・・・」


「2年もかかっちまった」


ルフィはそう言って、いつものようにしししっと笑った。




その笑顔。
その笑い方。

やっと、やっとまた会えた。



「ルフィ・・・」

「ん?」



「会いたかった・・・」



涙ぐんでいう私を、ルフィはぐいっと引き寄せ、
抱きしめた。



2年ぶりに感じる、ルフィの体温に。
お日さまのような香りに、めまいがしてしまいそうなくらいドキドキする。




「・・・おれも、会いたかった」

耳元で、いつもより低めの声が響く。



「あのとき助けてやれなくて、ごめんな」


「・・・ううん、いいの」



目の前にいるルフィが幻じゃないんだと確かめるように、
彼の背中に腕を回す。



2年間で、何度彼の夢を見たことだろう。

会いたくて、会いたくて。


夢を見た日の朝は、必ず彼を想って泣いた。



寂しかったけれど、
悲しかったけれど、

必ずまた会えると信じてた。



離れていた時間が生み、育てたのは―――――
恋よりももっと深い、愛しいという気持ちだった。




ルフィも私と同じように、
私を想ってくれていたんだろうか?



確かめるまでもないのかもしれないけれど、
どうしても、聞きたい言葉があった。


“好き”よりも、もっと深い気持ちを――――――

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