Novel2
□さよならの続き
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愛だとか恋だとか言われても、よくわからない。
ただ、最初から特別だった。
月が、決して太陽なしには輝くことができないように。
心に灯りをともしてくれる、世界でたった1人の存在だった。
例え、その笑顔が自分には向けられなくても、
自分のことを特別と思ってもらえなかったとしても、
いつの日か、離れ離れになってしまったとしても――――――
永遠に、たった1人の、“特別”なんだろう。
《ACE Side》
最初に言っておこう。
このときのおれは、少々舞い上がっていた。
そのせいで、多少周囲の状況に鈍感になっていたらしい。
時間を巻き戻せるならば・・・と、このときほど強く願ったことはない。
事のはじまりは、数週間前にさかのぼる――――――
とある日。
モーダの家でくつろいでいたおれは、
テーブルの上に置かれていた、カラフルなチラシを手にとった。
「なんだ?これ」
「あ、それね、こないだ街にオープンした公園のチラシなの!すっごく広くて、花壇なんかもたくさんあって、ちょっとしたテーマパークみたいなんだって」
そう話すモーダの顔は、キラキラと輝いていて。
「昨日遠くから見てみたら、観覧車もあったんだよ。いつか乗ってみたいな」
これはもう、ここに行きたいというモーダの意思表示なんだろう。
「・・・行くか」
「うん!・・・って、ええっ!?」
「行きたいんだろ?」
「え、で、でも・・・」
「いつもメシ食わしてもらってる礼だ。等価交換だろ」
これまでのことを考えれば、
どう考えてもおれのが多くもらってる気がするが。
「・・・いいの?」
そう言って、おずおずと上目遣いでこちらを見上げてくるモーダは、
そりゃもう可愛かった。
くしゃり、と頭を撫でて、
「いつ行くか、決めといてくれよ」
と言うと、嬉しそうに微笑んだ。
それがまた可愛くて、こいつの笑顔が見れるなら、
どんなことだってしてやりたいなんてガラにもないことを思うおれがいた。
それが数週間前の出来事。
そして今日は、出かける約束をした当日。
おれはいつもの黒いパンツの上にシャツとパーカーを羽織り、ストライカーに乗った。
上を着るのなんか久々だから、少し変な感じがする。
途中立ち寄った島で、いつかと同じ赤いチューリップを買った。
なんだか、あのおれ史上最大の空回りをした日がとても昔のことのように思える。
あいつはきっと、今でも意味なんてわかってないんだろうが。
それでもきっと、嬉しそうに受け取ってくれるんだろう。
モーダの笑顔を想像すると、自然とおれの口元もほころぶのを感じた。
それを必死に抑えながら、おれは急いでモーダの家に向かった。
もう一度言おう。
このときのおれは、モーダのことで頭がいっぱいで、少々舞い上がっていた。
そのせいで、多少周囲の状況に鈍感になっていたらしい。
そのことを、後で死ぬほど後悔することになるとは、
このときのおれはこれっぽっちもわかっていなかった・・・・・
玄関の扉をノックすると、いつもの明るい笑顔で、
この家の主が出迎えてくれた。
「あ、エース!いらっしゃい!」
「おう。ちょっと遅れたな、悪い」
そう言うと、モーダはきょとんと不思議そうな表情を浮かべた。
・・・おれ、なんか変なこと言ったか?
まぁ、余裕をもって出発しなかったのは悪いと思ってるが・・・
すると視線はおれではなく、俺の背後に向かっていた。
おれの後ろになにかあるのか?
「後ろにいるのは・・・エースのお友達?」
モーダはいきなり変なことを言い出した。
おれは誰も連れてきていないし、持ってきてもいない。
そもそもモーダのことを誰にも知られないように、常に注意を払っているのにそんなことあるわけがない。
・・・もしかしてこいつ、人には見えない何かが見えるんじゃ・・・・・
とアホなことを思ったところで、背中にゾクッ、と寒気を感じた。
「へぇ〜え。こーゆーことだったのねぇ〜」
「なーナミ!もうしゃべってもいーよな!?」
信じられなかった。
まさか、という思いがかけめぐり、さあっと血の気が引いていく。
聞こえてきた声の片方は、聞き覚えがありすぎて疑う余地もなかった。
振り向きたくない、いやもう絶対に振り向きたくない。
冷や汗が背中を伝い落ちるのを感じた。
「おまえ、エースの友達か!?ちっちゃいなー!」
「ちょっとルフィ、まずちゃんとあいさつしなさいよ!」
「・・・な、な、な・・・・・」
ギギギ、と音が聞こえそうなくらいゆっくり首を動かし、
恐る恐る振り返ると―――
「おれはルフィ!エースの弟だ!以後よろしく!!」
「私はナミ。よろしくね!」
「・・・なんでお前らがここにいるんだよー!!!!!!!!!!!」
時刻は、午前10時。
・・・さわやかな風とともに、
おれの絶叫がこだました・・・・・・
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マヨ様リクエスト作品
『ルナミとエーモダがWデート』
続きます!