テイルズシリーズ小説置き場。

□『水面下の想い。』
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『水面下の想い。』








「……好きですわ、ガイ」


うららかな昼下がり。
その暖かな日差しに誘われるように目を閉じている青年に、私はそっと口付けを落としました。


――密かな想いと共に。






「ガイ、好きですわ……あなたが…」



もう一度、同じ想いを同じ言葉で零し、同じ場所に唇を落としましたわ。


――けれど、私は同時にある願いを込めましたの。







どうか、この想いに気付かないで下さい、と……。






気付けばあなたはきっと困ってしまうから。

気付けばあなたは私を恐がってしまうから。

気付けばあなたは私から逃げてしまうから。








…困ってほしくないのです。

恐がられたくないのです。

私から、逃げてほしくないのです。










……わがままですわね。

でも、だからこそ気付いてほしくないんですわ。


けれど、時々どうしてもあなたに告げたくなりますの。 言ってしまいそうになりますの。





だから、そんな時は。


こうやって、あなたが眠っている間に想いを打ち明けるのですわ。







……ずるいですわね。

でも、好きなんですの。
この気持ちに、嘘は吐けませんの。








好きですけれど、

告げられませんけれど、

告げたいですけれど、

時に告げてしまいますけれど、








これは全て、あなたの知らないところにあるモノ……。


私の想いは、あなたにとっては水面下の想いなのですわ。









ですから、安心して眠っていて下さい。 気付かないで下さい。


この想いが水面の上に顔を出す時は、貴方が私を恐れなくなった時。











それまで私は、この気持ちを深い深い水底の方で膨らませておりますわね…。









―――End.―――

2007.9.23up.

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