小説メモ&拍手お礼絵。

□光煌めく水面の上で
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 キラキラと月の光が水面に反射する、そんな時間帯。 とある家の中からふと蒼い影が現れた。
 その人影は、どこを目指すでもないようで、ただ地面の上を静かに歩む。


 ふ、と。
 水面に映されたある影の元で、その影はぴたりと足を止めた。


 「……ソフィア」

 落ち着いた声で呼び掛けられて、茶色の髪を揺らしながら“彼女”は声の方へと振り返った。

 「あ…フェイト……」

 呼び返された彼は、ふわりと微笑み返した。
 ついで彼女の隣へと、ごく自然に腰を降ろす。 まるで最初からここが目的地だったかのように。
 清らかに流れ行く水の上に架けられた板の橋に腰を落ち着かせたフェイトは、そのままソフィアの方へ顔を向けた。

 「どうかしたのか?ソフィア。
お前がこんな時間に一人で外に出るなんて、珍しいじゃないか」
 「ん…別にどうしたって訳でもないんだけとね…」

 問い掛けに、何と答えたら良いのかと少し困ったような表情をするソフィア。

 「ほら…フェイトにもない?
何となく、外の空気吸いたくなるような時とか…」

 ソフィアにとってこの質問は、少々説明のしにくいものか、もしくは説明のしたくないものらしい。
 その意を汲んで、フェイトは穏やかに同意を示した。

 「ずっと建物の中に入りっぱなしの時とか、暑い日とかなんか、特にそうだな。確かに外に出たくなる。
それに、この星は地球と違って空気が綺麗だ」
 「…だよね」

 ソフィアもまた、フェイトの言うことに同意を示す。 彼が容易に納得してくれたことにほっとしたというより、単に彼女もそう思っていたからこその言葉のようだ。

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