小説メモ&拍手お礼絵。

□その為に、全てを。
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君に触れていいのは、俺じゃない。


君に触れるべきは、俺じゃない。


君に触れたいと思う資格を持つのは、俺じゃない。





…そう、俺じゃないんだ。


君の傍に居てやれるのは、俺じゃない。

俺は君の傍に、居てやれないんだ。





俺には、君を自ら手放す選択しか…――

























―――……努力なさい、ガイラルディア…――

















……姉上…?





いや、それともあれはナタリアの声だったろうか…。



それ程に、夢の中に響いたのはおぼろげな声だった。







……努力?

何の努力だ?





……自分で自分をごまかしてることに嫌気がさした。



そう、わかってるんだ。







――お前は努力をしたのか、ガイラルディア。




内なる自分が問い掛ける。

俺はそれに答えない。





――ナタリアの傍に居れるように、お前は何か努力をしたのか?




否、答えられない。




「(……そうだ。
ずっと逃げていただけなんだ、俺は……)」






――逃げていた。


自分を見てくれている、彼女から。

彼女に想いを馳せている、自分から。





……けれど。




「(そんなの今更だ…。
分かったところで、俺に何が出来る?)」





努力など、やったところで意味が無い。
自分の努力でどうにかなる問題などでは決してないから。



――彼女との間に立ちはだかる壁は、あまりにも高すぎた…。












――……ガイラルディア…――





またあの声が響く。 耳にではなくて、頭に。
それはとても柔らかく心地よいもので、夢の中だというのに俺は思わず意識を手放しそうになる。

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