長編
□4,心モヤモヤズキズキ
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「志村ァこれよろしくー」
「またですか?僕まだやることいっぱい残ってんですけど」
「俺も忙しいの。お願い!新八クンっ!!」
「せんせー気持ち悪くなったんで保健室行ってきてもいいですか?」
「ごめん!冗談だから!よし、じゃーこれ半分ずつにしよう!ね?」
「もう、しょうがないですねー…。わかりました、半分だけですからね。やっぱ無理とかなしですよ」
「うーい」
あれから何かと志村を呼び出して雑用をさせたりと色々コキつかっていた。
いや、これは一応学級委員としてだから。
それから一時間くらい経ち、志村は学生鞄を持ってスッ…と立ち上がった。
「そろそろバイトの時間なんで」
「え!?…あーそうか、もうそんな時間か。…頑張れよ」
「はい、先生も頑張って下さいね。じゃ」
「おう、いつもありがとな」
俺がそう言った後、志村はスタスタと少し早歩きでバイトに向かっていった。
ハァー…アイツ帰っちまったなぁ…あ〜暇。
残りの作業に手がつがず、煙草を銜えながら窓の外を見下ろした。
すると、校門にグルグル眼鏡を掛けた乱暴な3-Zの生徒、「神楽」の姿が。
フゥー…そういえば「今日は思う存分定春と遊ぶネ!」つってたな。オイオイつーか何時だと思ってんの!女の子はもう帰らないと危………て、あいつにそんな心配いらないか。
それにしても校門から動く気配はない。
そんなどうでもいいことを思っていると、駆け足で神楽に手を振って歩いてくる男子生徒が来た。
おー???あれは彼氏かぁ?お嬢さんやるねぇ、まさかこんな奴に彼氏がいるなんざおもいもしなかったぜ。ま、人間その気になれば誰だってできんだな。
それにしても誰だー?あんな奴と付き合う物好きは??後ろ姿しか見えねーから顔がわかんねー。
こっち向け!!!
俺の声が聞こえたのか、その男子生徒が一瞬こちらを向いた。
「………え…」
そこには予想もしなかった奴がいた。
さきほどまでこの国語準備室にいた地味で駄メガネの…
「志村…?」
煙草が地面にポトリ…と落ちた。
何故だかわからないが、心がモヤモヤした。
いつの間にか志村達は校門から姿を消していた。
間違いない、あれは志村だ。あいつらデキてたのか…。いや、別にデキてたって構いやしねーけどよォ…何で……
何で……こんなに胸が痛ぇーんだっ…。
俺はもしかして生徒である神楽に惚れているのか…?
…違う。断じて違う。
じゃあ………
俺は………
まさかな。んな訳ねーよ。俺は女が好きなんだ!男なんてとんでもない。
よっしゃー!今日は坂本を連れて飲みに行くとすっか!!
そう気を紛らわそうとしても、俺の心の中はモヤモヤしたままだった…。