長編
□3,酒の飲みすぎにはご注意を
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気がつくと俺は自分の部屋にいた。
辺りを見廻すと、そこら中ビールのあき缶だらけ。
それに飲みすぎたせいか、すげー気持ち悪い。
あれ?俺…何でこんなに飲んでたんだっけ…?
思いだそうとしたが、頭が痛すぎて思いだすことができなかった。
イテテテテΣ
ま、いっか。その内思いだすだろ。
気持ち悪さと頭の痛さを我慢して「よっこらせっ」とオッサンくさい言葉を発しながら立ち上がり、フラフラと体の動きが不安定にもなったりしたが、学校に行く準備をした。
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学校に着く頃には少し酔いが治まっていた。
しかし、何故あんなに缶が散らかっていたのかがどうしても思いだせなかった。
思いだそうとしても頭の痛みがそれを邪魔する。
っ痛!ったく、どうしちまったんだよ俺ェー!
あ〜もうめんどくせェ〜〜〜。
ハァー…と深い溜息をつき、胸ポケから煙草を出し、一本取ってから銜え、ライターをカチッと点火した。
「おはよー金時!朝から何深い溜息ついとったがか?」
「ぅわぁ!!さ、坂本!おまっ今俺の頭シバいただろっ!!?おかげでこっちは危うく鼻の先っちょが火傷しそうになっちまったじゃねーか!!」
仕返しにバシッと坂本のモジャモジャ頭を叩く。
俺が銜えていた煙草はいつの間にか地面に落ちていた。
「おーすまんすまん金時」
「あとなー金時じゃねー、銀八だ!!一文字も合ってねーじゃんかよっ!」
「わかったわかった銀八じゃな。それにしても今日もいちだんと死んだ魚のような目をしとるのー金八」
「お前人の話聞いてたー??」
アハハとこいつの得意技、『笑ってごまかす』をかましてきやがったが、その手には乗らず、さっきよりもちょいキツめにバシッッ!!と叩いてやった。
「イタタタタ…少しは手加減してよ……。それはそうと金八」
もうツッコむのめんどくせー。
「お?何だよ」
俺がダルそうに返事をした時、坂本が急に真剣な表情で俺を見た。
「おまんどうした、そんな溜息ついとって。わしらダチじゃけん、何でも話すぜよ」
こいつには何でもお見通しってわけか。
「んー…それがよォ、朝起きたら部屋中ビールの缶ばっかでどうしてこうなっちまったのかが思いだそうとしえも思い出せねーんだよ…」
坂本はんー…と腕組みをして考えだした。
数秒後、ハッ!と何かを閃いたようあ表情をした。
「ひょっとしておまん、『千歳』と喧嘩したとがか?」
……!?
…ち…と…せ…
そのキーワードで急にズキンズキンと誰かにおさえつけられるような痛みが頭中にした。
思わず左手をおでこに当てる。
「おい!どうした銀八!!」
「わりぃー坂本…俺…ちょっくら保健室行くわ……校長に報告しといてくれねーかっ…頼む…」
「わかったぜよ。すまん、わしがいらんこと言ったせいじゃき…」
「別におメェーのせいじゃねーから気にすんなっ…」
坂本は俺の腕を肩に回し、保健室まで運んでくれた。
ベットに横になって目を瞑ると、知らぬ間に眠ってしまった。