長編
□2,晴れのち雨
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ガラガラガラ
教室の扉が開いて辺りは一気に静まった。
膝に手をつき、前屈みになってハァハァと息を切らしながら「遅れてすみませんでした」と言ってきた生徒はついさっき体育館裏で強姦されていた奴だ。
こいつの名前は「志村新八」メガネをかけていて一言でいうと地味。
けど女顔だから俺の予想では女よりも男に好かれんじゃねーかなぁーって思う。
クラスの皆には「お!空気が来やがった!」「新八のくせに遅れてくるとは何様のつもりヨ!」やら教室中に志村をバカにする発言が飛びちっている。
けどこいつは得意のツッコミで一人一人正確にツッコんでいった。
最初に会った時から薄々気づいていたが、こいつはクラスのツッコミ役でもあってまとめ役でもいけんじゃねーかって。
だから勝手に志村を学級委員に決めた。
「ちょっと!なんで僕が学級委員なんですか!??」
「お前にピッタリの役じゃねーか」
「僕、皆をまとめる自信なんて無いです!」
「そーか?俺的に向いてると思うけどなぁ」
「………ホントですか?」
「あぁ、俺を信じろ」
あまり信用してもらえなかったのか、志村は机に肘をたて、頬杖をつき、窓越しに空を見上げた。
こんな死んだ魚のような目をした俺に「信じろ」と言われも信じてくれる訳ねーか。
それから少しだけ俺の自己紹介をしてから今日のHRは終わった。
皆が一斉に「さよなら」と言って帰っていく。
そこにポツン…と残された2人
俺と志村だ。
志村はまだ空を見ていた。