長編

□1,すべての始まり
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ゆっくり目を開けるとそこには白い天井があった。横に向くと愛しい女の寝顔。

そいつの名は「城島千歳」見た目はなかなかの美人。

まぁ簡単にいうと俺の恋人。

俺は隣で寝ている千歳の長い髪を優しく撫でた。


「…………ん…」

千歳がゆっくりと目を開けた。



「あ…起こしちまったか?」

「……銀八………」

千歳の顔がピタッと俺の胸にくっついてくる。



「…甘えたくなったのか?」

「……うん…」

「昨夜もさんざん甘えてたくせに?」

「だって甘え足りないんだもん」

「…ったく、しゃーねーな」

そう言って、千歳の体を優しく抱きよせた。裸だから柔らかく感じた。

そしてゆっくりと目を瞑った。


「………あ」

「どうした?」

千歳の一声で眠気が覚めてしまった。

何かを思い出したのか、慌てて上半身を起こした。


「今日から学校始まるんじゃなかったっけ?」

「あ〜大丈夫。まだ時間あっし」

「そっか」






「なぁ…………」

ゆっくりと上半身を起こした。

「ん?」

千歳の大きな目は俺を優しく見つめている。


そうだ、俺は今日言おうと思ってたことがある。




それは…………


「あのさぁ………」

「何よ真剣な顔しちゃって」


いや、これは真剣に言わないとダメだ。


「驚かないで聞いてくれ」

「……うん」



準備はできた。よし、頑張れ俺!!


ちょっと間をおいてから言った。









「俺と結婚してくれ!!」

「!?」

千歳は驚いた顔で俺を見ていた。


「だから驚くなっつっただろーが////」

「……あ、ごめん……」


ん?

千歳の目には涙が溜まっていた。


「す、すまん!!キツかったな俺…」

「ちがっ!そうじゃなくて……」

「もしかして嫌だった……か?」

「ちがっ!そうじゃなくて……」

「え?」


て、ことは………



「……銀八……」

「うん」

「私、嬉しすぎて泣いちゃった」

「千歳…」

「こんな私でよかったら…銀八のお嫁さんにしてください」


千歳の涙が目から頬に流れていった。その可愛さに耐えきれなくなって強く抱きしめた。



「千歳!!!」

「!!?」

「俺、ぜってェーおめェーのこと幸せにすっからなぁ!」

「うん、でももう十分幸せだよ」

「夜までには体力温存しとけよォ!」

「銀八!」

「すみません………」


それからしばらくこうしていた。ふと、壁に掛けてある時計を見た。


「あ」

「どうしたの銀八?」

「そろそろ行かねェーと、あ゛〜もうちょっとラブラブしときたかったのによォ〜!」

「しょーがないでしょ!ほら、さっさと着替えて」

「ヘイヘイ。なんかもうすっかり奥さん気どりだな」

「えへ

可愛い/////


俺は学校用の服に着替えた。

「あ、そうだ。渡すもんがあったんだ」

自分のポケットに手を突っ込んで小さい輪っかを取り出した。


「左手出して」

千歳は自分の可愛い手を俺に差し出した。その手を持って薬指にそれをはめた。


「これ……」

「ごめん、箱で渡せなかったけど」

「ううん、すっごく嬉しい。綺麗な色……銀八の髪の色と一緒ね」

「バッ//////照れることさらっと言うなよ!」

「ごめんごめん、ってΣそろそろ行かないとヤバくない?」

時計を見ると7:30。まだ間に合うけどそろそろ行くか。


「じゃー行くわ」

「待って!銀八も指輪してる?」

「あぁ、もちろんしてるぜ」


左手の甲を見せつけた。指輪がキラッと輝いていた。


「良かった。あ、見送ろうか?」

「いんや、大丈夫。お前は明日からだろ?だから今日は一日中寝とけ」

「そっか、ありがとう」

「おぅ、でも夜にはちゃんと起きとけよ」

「もう/////バカ!!」






こういうふざけた会話がコイツとだったら楽しかった。

だから俺はもうコイツを手離さねェーって決めた。

これからの長い人生、コイツと過ごすって決めた。







そう決めてたんだ……………










あいつに出会うまえは…。





 
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