跡忍
□忍足誕記念
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10月15日。
今日は忍足の誕生日だ。
約一週間前は跡部の誕生日だったが、日曜日ということもあり、跡部と忍足は何事もなく平和に過ごせた。
例年は跡部ファンが跡部を待ち伏せして、プレゼントを渡して行ったり、机の上にプレゼントが置いてあったりする。
もちろん呼び出しも多くなり忍足と一緒にいられる時間が減るのだ。
今年はそれがなかった文跡部の機嫌がよかったのだが、それも今日の朝までだ。
今はもう昼休みになるが、跡部は今日、一回も忍足に会えていない。
それもそのはず。
忍足の誕生日が今日ということで、呼び出してプレゼントを渡すものや、告白をするものが後を絶たないからだ。
まだ一回も忍足に会えないストレスで跡部の苛立ちは最高潮に達していた。
「おい、跡部。なんでそんなにイライラしてるんだよ」
「あーん?そんなもん忍足に会えないストレスに決まってんだろうが」
「…なるほど。今日は忍足の誕生日だからな。女子達が騒いで忍足に会えてないのか…」
苛立っている跡部にたいして、そう判断した宍戸は大きく溜息をついた。
このまま跡部の機嫌が悪ければ、今日の部活はとてもきついものになる。
そう考えた宍戸は跡部に機嫌を治してもらおうと、忍足を探しにかかった。
「やっと見つけたぜ、忍足」
忍足は一人で屋上にいた。
「なんや。どうしたん、宍戸??」
「お前に今日一度も会えていない跡部の機嫌が悪いんだよ。」
「跡部が??」
「そう。んでこのままだったら部活がきつくなるなぁと思ったから忍足を呼びに来たんだ」
宍戸からその話を聞いた忍足は「そうなんや…」と呟いたあと、立ち上がった。
「跡部のとこ行ってくるわ。まだ昼休みもあることやしね。教室にいるんやろ??」
「あぁ。さっき出てくるときは教室でふて腐れていたからな」
「ははッ。じゃあ行ってくるわ」
忍足は跡部のいるであろう教室に向かって歩き出した。
「跡部」
ふて腐れてしまいぶすっとしている跡部に、ずっと会いたいと思っていた本人から声がかけられた。
「忍足…」
「今日一回も会えんで堪忍なぁ。」
「……」
跡部はよほど拗ねているのか、忍足から目を反らし黙り込んだ。