光謙

□忘れられない
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「謙也さん…」

懐かしい大好きな、大好きな人の声。俺の胸の中に響き渡っているのはそんな声。
俺達は中学を卒業するときに別れてもうた。

でも、もしも一年経ってお互い相手のことが忘れられんかったら。
その時は四天宝寺中でまた会おう。
そう約束して別れた。別に好きじゃなくなったわけやないねん。ただ、光を解放してやらな。そう思ったんや。


共に駆け抜けて来た仲間達とも別れた。皆別々の高校に行ってもうたんや。
それは、生きてれば必ずあること。

一生会えない。
そんなわけは無いんやけど。
一緒に居たい。
また皆とテニスがしたい。
そう涙する日もあった。

同じ夢に向かって全力で駆け抜けた日々は、忘れられるわけがあらへん大切な宝物。



ずっと一緒に居たい。
その願いは叶わず、時は無情にも過ぎていく。

別れがあれば、出会いもある。
高校で新しく出会った仲間とやって行けるのか不安にもなった。


だけど、そんな時君達の声を思い出す。


お前は、俺達は、一人じゃあらへん。
ワシらの心はずっと、奥深くで繋がってんや。
そや!他の誰も踏み込めない、ような場所でな!
高校が別だからってどうってことあらへんわよ。
また、皆で集まろうや。
それで現状報告でもするたい。
だから謙也!安心しい!!

俺達の関係はいつまでも変わらんのですよ、謙也さん。俺、一年後ここで待ってますんで、気持ちが変わってへんかったら来て下さい。


その言葉で俺はいつも救われていた。

大好きな君達へ。
ずっと、ずっと、忘れない。忘れられるわけがない、大切な仲間やからな。



そしてあれから一年が経ち、俺は四天宝寺中に来ていた。
そう、光のことが忘れられなかったんや。いや、忘れられるわけがない。
大切な仲間であって、大切は恋人やからな。



「謙也さん…。来てくれたんですね。」

「…当たり前や。忘れられへんかったねん。やっぱ俺、お前が好きや」

「また、これからもよろしくお願いしますね」

「おん!ずっと一緒やで!!」

「当たり前っすわ」

二人の上では桜が綺麗に咲き誇っていた。

END.

(あ!俺謙也さんとおんなし高校行きますんで)
(ほんまか?!)
(嘘ついてどないするんですか)
(光!大好きや!!)



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