光謙

□可愛い
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古典なんてつまらんちゅーねん。
早よ終われー。
あと20分もあんのかいな…。ダルイわぁ、授業サボればよかった。
大体なんやねん、徒然草って。どうでもええわぁ。









あ!謙也さんや。あの人のクラス体育やってんな。
しかも短距離走やんけ。うわー、謙也さん楽しそうやな。走んの大好きやもんな、あの人。めっちゃ笑顔やし、ジェラシーやわー。ってかハーパンっていくらなんでも寒くないんかな?俺やったらムリやわぁ。あ!そこの誰だか分からへん奴!謙也さんと肩組んでるんやない!!離れろや!全く油断も隙もあらへん。
あ、部長や。ちょ!何やっとんねん、あの変体エクスタ部長!!謙也さんに抱きつくんやない!!ホンマいてまうど!!謙也さんに抱きついてええのは俺だけや!!部長のこと睨んでやる!

あ、謙也さんがこっち気付いた。手振ちゃろ。
あの人顔真っ赤にしてかわえー。部長のこと無理やり引き離しとるし。ホンマに可愛え人やなぁ。

もう謙也さんの出番やん。呼ばれとるし。でも何や手振っとるで。んでなんか口ぱくで伝えとる。

『光ー!次、俺やから見とってな!浪速のスピードスターの速さ見せたる!!』

あー、ホンマに可愛えなぁ…。俺も伝えちゃろ。

『見てるに決まっとるやないですか。期待してますよ、スター』

『スピードスターや!!見とれよ!』

そう伝えてから謙也さんは走っていった。



浪速のスピードスターに皆が注目しとる中、スタートの合図が鳴った。
速い、速い。隣で走っとるやつとの距離なんて相当なもんや。
余裕綽綽でゴールした謙也さんは記録係に自分のタイムを聞いている。
自己ベストを更新したのか、大喜びしている。…そんなところも可愛えなぁ。
あ!チャイム鳴った。四時間目終わりや。
急いで着替えてから、謙也さんは弁当を持って俺の所に昼飯を誘いに来るだろう。
屋上に着いたら言ってやろう。



『今日の体育している謙也さん、めっちゃ可愛いかったで』って。



END.

(なんや、可愛えって。俺は格好いいのほうがええなぁ)
(何言っとるんすか、謙也さん。謙也さんを可愛えって思うのは、俺だけでええっちゅー話ですわ)
(光…///)

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