真田受け

□貴方の全てが愛おしい
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「真田弦一郎」という人間を表明上、または少し奥に入ったとこまでしか知らない者達は皆、こう言う。

老け顔、鬼、頑固者。

それはそれで、弦一郎の特徴を捉えられているとは思うが、それではまだ足りない。

同じテニス部さえ、仲間思い、心配性。
そんなことしか知らない。


俺が知っている、俺だけが知ることの許された弦一郎。
恥ずかしがり屋であり、照れると顔を赤くしながら俺から目をそらす。時たま恥ずかしすぎて目が潤んでいたりもする。落ち着きなく、目をキョロキョロさせ、いつものような落ち着き払った聡明な雰囲気もなくなる。
それでいて結構な甘えん坊。互いの部屋にいるときなんかは弦一郎から寄ってくる。顔を真っ赤にして。俺の体温を感じたいんだそうだ。(正直聞いたときは襲おうかと思った。)
泣きはしないが、嬉しい時は笑う。赤也やブン太みたいな馬鹿笑いではなく、ふんわりと。その笑顔にいつも目を奪われてしまう。
寒い時は黙って手を繋いでくる。いつもだったら、男同士で何故手を繋がねばいかん。だの、こんな図体のでかいものと手を繋いで何が楽しい。だの言うが、拒否するときも自分から手を繋いで来るときも顔を真っ赤にしているのを俺は知ってる。
赤也を弟のように思っているのだって、ブン太の体重の増減を気にしているのだって、仁王に振り回される柳生を心配に思っているのだって知っている。

そんな弦一郎が俺を愛してくれているということも知っている。


そんなお前を、自分を出すのが苦手なお前を。
誰が何と言おうと一番愛しているのはこの俺だ。

どんなお前でも輝いて見える。



あぁ、

方の全てが愛おしい


Title:瞑目

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