短編夢

□無意識
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それは、全てが偶然だった。





木漏れ日がさしてぽかぽかしていたこと。



私が、先生に頼まれたプリントを職員室に運び終わって



いい天気だったから偶然中庭を通ろうとしたこと。



そこに、昼食を食べ終わっただろう彼が陽気に誘われて眠っていた事



そう、全て偶然!!!



偶然運がわるかったんだ。



深層心理なんてことはありえないんだからっ!!





前に説明したとおり私は、プリントを無事先生に渡して中庭を通ったらそれ(百目鬼)は、そこに居た。





中庭に、横たわって眠る彼の姿は、あまりにも綺麗で。



わたしは、思わず横にすわって見入ってしまう。



普段、男子なんて苦手で最低限の話すらしたことない相手。



『やわらかそうな髪だな〜・・・。少しぐらい、いいよね?』



誰に言うでもなくそう呟き

恐る恐る彼の髪に触れてみる。



さらりとした感触がきもちよくて思わず撫でてみたり。



『・・・お願いだからもう少しだけこのまま居させて』



そんなことを、眠ってる彼に呟いてみたりして。



瞳を閉じているからだろうか、表情をあまり表に出さない普段の彼とは違い、



今、私が独占している彼はあどけなくて思わず幸せに浸ってしまう。



彼の顔を見つめてたはずの私が、



ふわりと。まるで、花に誘われる蝶のように、



そこに誘われる。



パサリと耳にかけている髪が邪魔にならないように手で押さえて。



私は、さも、それが自然なことのように口付けを彼に落とそうとする。



カレマデ・・・・・・・・30センチ



カレマデ・・・・15センチ



・・5センチ



そう、まさにその時、同級生二人の声が聞こえた。



一人は、四月一日君。もう一人は、九軒さん。



そう、彼には、九軒さんという可愛い彼女が居て私なんか相手にならないくらい可愛い。



ビクリ!!



それは、私の動きを止めるには、十分で。



あわてて、立ち去ろうとした私の腕がなにかに掴まれて引き寄せられ。



そのなにかは、あろう事かさっきまで私が口付けしようとしていた百目鬼静



その人で。



気づいたら私は百目鬼君に口付けられていた。



柔らかい唇の感触。



ふんわりと香る彼の香。



そして、痩せて見えるけど広くてかっちりとした彼のうでのなかの感触



それらが、私の中の全てを蕩かせていく。



なにかが、落ちる音と声がして



ふと瞳を開き上をみれば百目鬼君がみえて。



耳元で彼の甘い囁き声。



「・・・・・もう少しだけこのままで居ろ」



返事をする代わりに瞳を閉じる。



ちっぽけな私は、こんなにも簡単に、あなたに蕩かされてしまう。





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